ICT活用し困窮者支援 生協拠点で「緊急お助けパック」配付 パルシステム2024年5月14日
生活協同組合パルシステム東京と生活協同組合パルシステム埼玉は、特定非営利活動法人トイミッケと連携し、宅配や活動の拠点に「緊急お助けパック」を設置。住まいを失った人が専用アプリで登録すると受け取ることができ、緊急宿泊先や通信・移動手段を担保する。
「緊急お助けパック」を渡した中司活動長(中央)と支援の現状を話す佐々木さん(右)
「緊急お助けパック」は、トイミッケと(一社)つくろい東京ファンドが協同で運営する困窮者支援の仕組み「せかいビバーク」に賛同する団体の拠点で受け取れ、レターパック大の封筒に提携ホテルの宿泊チケットや非常食、携帯電話の充電器などが入っている。
受け渡しの拠点は現在、飲食店や書店など都内53か所、埼玉県内1か所に設置。利用を希望する人は、拠点を訪問したときに専用アプリから受け付けを完了させ、翌日に公的相談機関や民間支援団体へ連絡することを約束する。2021年の開始から4月末までに、16歳から77歳まで多世代にわたる497人が利用している。
「せかいビバーク」は、コロナ禍などで収入が不安定な生活が継続し、住まいを失った人たちを支援につなげることを目的としている。所持金がなくなる限界までネットカフェなどでしのぐ「見えづらいホームレス」は多く、遭難時などの緊急野営を意味する「ビバーク」のように、頼れる場所がなかった人たちに一晩の宿を提供。支援とつながるまでの安全な場所を確保する。
パルシステムはこの取り組みに賛同し、東京の8つの配送センターと埼玉の活動施設「ぱる★てらす」で設置を開始。2023年度のパルシステム東京「市民活動助成基金」の活動への資金助成の贈呈式で佐々木さんの呼びかけに応じたことがきっかけで、業務との調整ができた拠点から先行し設置している。今回、パルシステム埼玉も連携に賛同し、県内では初の拠点設置となった。
設置場所のひとつパルシステム東京大田センターでは、3月からすでに2件の利用があり、支援につながった。中司智晴活動長は「センターは交通の便があまり良くないのに、設置2週間ですぐ訪問があり驚いた。パルシステムの職員は利用者のアプリ登録を手伝うだけですが『温かく対応してくれた』とのメッセージを受け取り、支援のネットワークにつながる入口となれたことを嬉しく思います」と話している。
単発バイトの"低空飛行"に長期伴走
佐々木さんは「支援は、生活保護などの公的制度につなげることだけがゴールではない。働く意欲があり、数日しのげれば新たな仕事が見つけられる人も多くいるが、単発のアルバイトなどで食いつなぐ『低空飛行の生活』が続くと、周囲から困窮状態が見えにくく、病気などで収入が絶たれたときに頼れる場所がない」と話す。
「緊急お助けパック」
「緊急お助けパック」の利用は1回に限られるが、「せかいビバーク」に登録すればいざという時に連絡を取ることができる。首都圏では炊き出しや相談事業など、多様な形で多くの支援団体が連携しながら活動。ICTによる支援ネットワーク構築で、再び困難な状況になった時に相互の団体が連携し、継続的に寄りそう。
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