2024年「サントリー日本ワイン」戦略を発表2024年5月15日
サントリーは5月14日、2024年の「サントリー日本ワイン」について戦略を発表した。
サントリーは、「良いワインはよいぶどうから」の理念のもと、100年以上にわたって日本の風土と向き合い、栽培・醸造技術を磨き上げ、ぶどうづくり・ワインづくりに取り組んできた。2022年に新たに日本ワインブランド「SUNTORY FROM FARM」を立ち上げ、「水と、土と、人と」をコンセプトに、日本ワインの魅力を伝えるために活動。「世界に肩を並べる『ジャパニーズワイン』を実現する」という目標を掲げ、同社の日本ワインの品質向上に向けて挑戦している。
2024年は、ワインぶどうの収穫量拡大やさらなる品質向上、持続可能なぶどうづくりに向けた取り組みを加速。なかでも、日本固有品種「甲州」や、登美の丘ワイナリーのテロワールの魅力をよりいっそう表現できる品種「プティ・ヴェルド」の取り組みを強化する。さらに、より洗練されたワインづくりを目指し、登美の丘ワイナリーで新醸造棟の建設のため、約7億円の設備投資を行う。
◎2024年「サントリー日本ワイン」戦略
(1)ぶどうづくりの進化:日本ならではの魅力を映し出す品種を強化
▼「甲州」の収穫量拡大・品質向上
「甲州」は国際ブドウ・ワイン機構が定める日本固有品種で、和柑橘を思わせる上品な香りが特徴的な、日本を代表するワインぶどう。同社は「甲州」が世界で愛され、評価されるワインぶどうとなることを目指し、登美の丘ワイナリーや自社管理畑における栽培面積拡大に取り組む。また、目指す味わいのワインを実現する「甲州」に育てるため、栽培する圃場の環境・栽培方法にこだわり、収穫時にも完熟した房のみを選別するなど、よりいっそうの品質の向上に取り組む。
▼「プティ・ヴェルド」の品質向上
フラッグシップワイン「SUNTORY FROM FARM 登美 赤」では、1982年のファーストヴィンテージ発売以来、登美の丘ワイナリーのテロワールを高いレベルで映し出す最適なぶどう品種構成を追求してきた。当初は欧州などで主力品種として使用される「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「メルロ」を多く用いていた。
「プティ・ヴェルド」は濃い色合いやスパイシーさが特長のぶどう品種。同社は、「プティ・ヴェルド」を登美の丘ワイナリーのテロワールに適した品種として、今後、ワインづくりの骨格にもなる味わいを発揮する可能性を見出した。区画に合わせた植え付けや、最適なタイミングでの収穫を行うことで「プティ・ヴェルド」のさらなる品質向上に取り組む。
▼約50区画でのぶどうづくり
登美の丘ワイナリーの複雑な地形を最大限活かすために、日当たり、水はけなど場所ごとの細かな土壌の特徴を見極め、畑を約50区画に分けて管理。異なった個性を持つぶどうを、それぞれの区画で最適な手法で育てることで、さまざまな魅力をもつワインの原酒づくりへとつながる。
▼サステナビリティに関する取り組み
温暖化への適応:副梢栽培
副梢栽培は、ぶどうがなる枝の先端および、ぶどうの花(果穂)を開花前に切断し、その後に出てくる芽(副梢)とその枝につく果穂の成長を促す栽培技術。温暖化への適応として成長時期を遅らせ、涼しい時期にぶどうを成熟させることによって、最適な状態で収穫できるようにする。
温暖化への対策:「やまなし4パーミル・イニシアチブ」への参加
山梨県がCO2削減を目指して推進する「やまなし4パーミル・イニシアチブ」に参加し、炭化させた剪定枝の土壌への投入、草生栽培などを行っている。
土壌の健全化:有機栽培の推進
持続可能なぶどうづくりを目指し、一部の畑で有機栽培を推進。登美の丘ワイナリーは有機JAS認証を取得している国内では数少ないワイナリーとなる。
(2)ワインづくりの進化:登美の丘ワイナリーにおける新醸造棟の着工
登美の丘ワイナリーにおいて約7億円の設備投資を行い、9月から新たな醸造棟の建設を開始。新醸造棟には、40台の小容量タンクを設置予定。これにより、約50区画に分かれた畑で育てているぶどうを、それぞれ最適なタイミングで収穫し醸造できるため、ぶどうの個性を最大限活かした多彩な原酒のつくり分けが可能となる。それらを組み合わせることで、いっそう洗練された、品質の高いワインづくりを目指す。2025年9月の稼働を予定。
(3)「甲州」「プティ・ヴェルド」の価値を伝える新商品の発売
▼初の「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州」発売
フラッグシップワイン「登美」から、「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」を9月10日に数量限定新発売。ぶどう品種「甲州」を100%使用し、同社の日本ワインの象徴「登美」の名を冠する商品の発売は初となる。
▼「プティ・ヴェルド」を主品種とした「SUNTORY FROM FARM 登美 赤」の新ヴィンテージ発売
フラッグシップワイン「登美」から、「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」を9月10日に数量限定新発売。「プティ・ヴェルド」を活かした、登美の丘ワイナリーのテロワールの魅力を表現する赤ワイン。完熟したぶどう由来の力強さと滑らかさ、上品さが感じられる。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日