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食農分野の環境負荷低減 対策の価値を還元する仕組みを提言 三菱総合研究所2024年8月1日

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三菱総合研究所(MRI)は、食料・農業・農村基本法改正をふまえた持続可能な食料システムの実現に向けて、食農分野の環境負荷対応の方策について提言している。

図表:食料品の購入、食生活において、環境保護につながるような行動を継続するために取り組んでいること図表:食料品の購入、食生活において、環境保護につながるような行動を継続するために取り組んでいること

2024年、食料・農業・農村基本法改正で、「農業や食料システムの環境への対応」が最重要な主題として位置付けられた。国際的な気候変動緩和に向けたイニシアチブでは、森林、土地および農業分野のGHG削減に関するガイドラインが策定・公開されている。MRIはかねて持続可能な食料システムの実現に向けて、「食料生産技術の革新」と「消費行動の変容」の両輪の対策がカギであることを発信してきた。

このたび、MRIでは重要な基本法改正のタイミングにあわせ、日本における食料システムの環境負荷対応に関する政策提言を新たに公表。提言では、食料システムの温室効果ガス削減に向けた国際的な取組指針の策定状況、国内外の技術開発・実装の動向、そして消費者行動変容の要因について明らかにするとともに、持続可能な食料システム実現に向けた方向性を示した。

国際的な気候変動緩和に向けたイニシアチブでは、森林、土地および農業分野のGHG削減に関するガイドラインが策定・公開された。企業にとっては、環境対応が適切に評価される土台ができるこの機を捉え、いち早く動き出すことで、森林保護や適切な土地利用に積極的な企業として投資家や消費者から一目置かれる存在となる可能性がある。

他方で、食料生産現場におけるGHG削減目標の設定や、削減に向けた取り組みはまだ緒についたばかり。これらの取り組みを社会実装につなげるため、MRIは、(1)環境負荷低減と生産プロセス改善を両立する技術開発・価値移転システムの実装、(2)流通購買チャネルでの取り組みをきっかけとした消費者の行動変容実現の2つを提言する。

(1)は、カーボンファーミングや再生農業など、環境負荷低減技術の実装が生産プロセス自体の改善にも資するような取り組みを優先的に進めることが求められる。同時に、技術実装の努力が炭素クレジットなどの金融手法を通じて、経済価値に転換される仕組みが不可欠となる。

(2)は、消費者が実際に環境負荷の低いプロセスで生産・販売される商品に価値を感じ、購買行動へつながるきっかけとなる「生活を取り巻く環境づくり」、「動機形成因子としてのコミュニティづくり」が重要。例えば、図表に示すように、食料品の購入・食生活においてCO2削減に貢献している商品を選択する層は、他の層と比較して、環境保護につながるような行動を継続するためのさまざまな取り組みを行っている。その中でも比較的選択率が高いのが、小売店の陳列棚、専門スーパー、専門通販といった購買チャネル。こうした購買行動に結びついた場面での働きかけが有効であることが示唆されている。

農産物生産や、そのサプライチェーンの状況に応じて、こうした課題解決の方策をうまく組み合わせながら、GHG削減技術の社会実装を生産者~消費者のバリューチェーンが一体となって進めることが必要となる。


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