有機農業に関する文献や調査データを統合・分析「有機農業白書 Vol.1」発表 坂ノ途中2024年9月17日
株式会社坂ノ途中は9月12日、有機農業の生産・流通・消費における現状を把握し、将来の展望を示した「有機農業白書 Vol.1 ~現状把握から将来展望へ〜」を発表した。同白書は、過去の調査データや国内外の文献を統合・分析。また、全国の有機生産者へ大規模なアンケート調査を行い、有機生産者の経営が成り立つ要因を明らかにした。
2021年に農林水産省が発表した、持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」では、2050年までに国内の耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%へ拡大する目標を掲げており、有機食品の市場規模は年々拡大している。
こうした流れをふまえ、有機農業の推進に取り組む地方自治体や有機農業への参入を検討する企業が増えているが、はじめのハードルが、有機農業の現状を把握できず何から着手したらよいかがわからないこと。現在、耕地面積に占める有機農地の割合は0.7%と少なく、有機農業に関する情報やデータも十分得られない状況にある。
坂ノ途中は創業した2009年から、環境負荷の小さな農業の普及を目指して、有機栽培された農作物を販売。西日本を中心とした全国の生産者約400軒と提携しており、そのうち約8割は新規就農者。その野菜を詰め合わせて届けるサブスクリプションサービスは、全国1万件以上が利用している。
同社は、これまでの経験から得られた知見を生産者や社会に還元するため、2021年に「坂ノ途中の研究室」というリサーチチームを立ち上げた。今回の「有機農業白書 Vol.1」では、様々な調査データや文献から有機農業の現状を把握し、将来への展望を示した。実際にアンケート調査も行い、有機生産者の売上別の経営状況や課題も分析している。
坂ノ途中の研究室のメンバー
「有機農業白書 Vol.1」のダイジェスト版(無料)を希望する場合は、下記アドレスから申込みを。
<ダイジェスト版概要>
・耕地面積に占める有機農地面積割合の都道府県ランキングは、田、普通畑、果樹という区分によって、また、有機JAS認証を受けていないものを含めるかどうかで大きく変化する。(表)
表:有機農地面積(耕地面積に対する割合)による都道府県ランキング(田の場合)※有機JASは「田」、非JASは「水稲」として集計されたデータを用いている 出所:農水省データ、楠田(2023)を基に坂ノ途中が作成
・有機生産者が経営成立するための条件として「売上が500万円以上であること」が挙げられる。(図)さらに、「農業関連事業に頼るより農業自体に注力するほうが経営が成り立ちやすいこと」と「売上階級によって経営の在り方が変化すること」も明らかになった。
図:売上階級ごとの経営成立状況 出所:坂ノ途中
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(164)-食料・農業・農村基本計画(6)-2025年10月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(81)【防除学習帖】第320回2025年10月18日
-
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第114回2025年10月18日
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日