オリーブ原産地のパレスチナ 役職員68人が参加し学習会 パルシステム連合会2024年12月17日
パルシステム連合会は12月12日、学習会「パレスチナ問題の歴史的経緯・現状とオリーブ生産者の今」を開催。パルシステムで取り扱っているオリーブオイルの産地でもあるパレスチナのヨルダン西岸地区の産地の現状を中心に、これまでの歴史的経緯や問題点を知り、当地の数少ない収入源であるオリーブオイルを購入する意義について考えた。
パレスチナでは農地面積の54%がオリーブ
学習会は、パレスチナ産オリーブオイルを輸入するパルシステムの関連会社、株式会社オルター・トレード・ジャパン(ATJ)広報室の小林和夫さんを講師に招いて開催。パルシステムグループの役職員68人が参加した。
パレスチナでは、戦闘が続くガザ地区だけでなくヨルダン川西岸地区でもイスラエル軍や入植者の暴力で多くの犠牲があり、この1年間でも1000人近い命が奪われ、8000人が強制立ち退きを余儀なくされている。イスラエル政府は、収奪した土地に入植地を建設する政策を続け、居住するイスラエル人は1993年のオスロ合意以降の30年で6倍の人口に増加している。
入植地の周囲には高さ8メートルの分離壁が建設され、占領によって飛び地状態になったパレスチナ人の往来を阻む。三重県とほぼ同じ面積のヨルダン川西岸地区には検問所が700か所設けられており、人の移動が厳しく制限されている状態。オリーブ産地では、入植者による暴力への恐怖や分離壁の往来禁止により収穫できない農地が多数発生し、2023年は4割の畑で収穫ができなかった。状況は好転せず、収穫期を迎えた今年も、多くの農地で収穫ができないことが懸念されている。
パレスチナはオリーブ原産地の一部で、数千年にわたって栽培されてきた。GDPの14%を占める主要作物でもあり、農家にとっては数少ない現金収入減の一つ。小林さんは「パレスチナ産オリーブオイルの購入で『忘れていない、心配してくれる人が日本にいる』というメッセージになっている」「占領下の土地にとどまり収穫したオリーブオイルを届けたい」など出荷団体代表や生産者の言葉を紹介した。
入植地を囲む分離壁
小林さんは「パレスチナ問題は、宗教問題ではなく土地と人権の問題。オリーブは、不法な占領への抵抗と忍耐のシンボルでもある。パレスチナの人々が尊厳をもって生きられるよう、オリーブオイルの購入で応援してください」と訴えた。
パルシステムでは4週に1回の頻度でパレスチナ産のエキストラバージンオリーブオイルと、オリーブオイルの石けんを販売している。オリーブオイルは、スパイシーな味わいと豊かな香りが特徴で「塩を足さずにそのままでもおいしい」「サラダをもりもり食べられる」など好評。石けんも「肌がつっぱらず心地いい」「やさしい香り」などの口コミが寄せられている。
ATJは12月19日、パレスチナとオンラインでつなぐオンラインセミナー「パレスチナのオリーブ生産者は今 2024」を開催。オリーブオイル出荷団体の代表とつなぎ、収穫の状況や生活の現状などについて報告する。
重要な記事
最新の記事
-
鳥インフル 国内47例目 千葉県で確認2025年1月30日
-
初動5年で農業の構造改革 28の目標掲げ毎年検証 次期基本計画2025年1月30日
-
営農管理システム「Z-GIS」と「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリが4月に連携開始 地域全体を簡単把握、現場データ管理がより手軽に JA全農と日本農薬(1)2025年1月30日
-
営農管理システム「Z-GIS」と「レイミーのAI病害虫雑草診断」アプリが4月に連携開始 地域全体を簡単把握、現場データ管理がより手軽に JA全農と日本農薬(2)2025年1月30日
-
2025年も切り花の品薄単価高が続く【花づくりの現場から 宇田明】第52回2025年1月30日
-
何かと言えば搗いた餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第326回2025年1月30日
-
雑草防除で成果保証型サービス開始 節水型乾田直は栽培を普及へ BASFジャパン2025年1月30日
-
担い手集め地域農業守る 労働力支援協議会が発足 JAみなみ筑後2025年1月30日
-
農林中金「アグリウェブ」に農業特化型生成AIを提供開始 きゅうりトマトなすび2025年1月30日
-
秋元真夏の「ゆるふわたいむ」神奈川県で幻の果実「湘南ゴールド」を収穫 JAタウン2025年1月30日
-
JAしまね「ファミマフードドライブ」を通じて食品寄贈 地域支援拡大の仕組みを構築2025年1月30日
-
「北海道スマートフードチェーンプロジェクト事業化戦略会議2025」開催 農研機構2025年1月30日
-
今年いちばん「うまい米」第11回「お米番付」最優秀賞など発表 八代目儀兵衛2025年1月30日
-
茨城県のブランド豚肉を堪能「常陸の輝きメニューフェア」2月1日から県内のレストランで開催2025年1月30日
-
「日本さつまいもサミット」今年度の特選生産者8組が決定2025年1月30日
-
【人事異動】協友アグリ(1月29日付)2025年1月30日
-
【人事異動】東邦化学工業(2月1日付)2025年1月30日
-
【役員人事】クミアイ化学工業(1月29日付)2025年1月30日
-
彦摩呂が驚く 南アルプス市のおいしいもの「タベサキ」新番組スタート2025年1月30日
-
農業課題解決と技術革新へ 広沢技術振興財団ものづくり技術助成事業に採択 AGRIST2025年1月30日