環境再生型農業の実践へ「スコアカード」レインフォレスト・アライアンスと運用 キリン2024年12月27日
キリンホールディングスとキリンビバレッジは、レインフォレスト・アライアンスと共同で2023年10月から開発してきた環境再生型農業への移行を促すツール「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」の運用を12月から開始する。
「スコアカード」の運用は、「キリン 午後の紅茶」に使われている紅茶葉の主な生産国であるスリランカの一部の紅茶農園を対象にしたもので、2025年末までにスリランカの1つの大農園と30の小農園での運用を予定している。
「スコアカード」は、紅茶農園で紅茶葉の栽培に携わる人々が、自主的に利用しやすいツールとなることを目指している。地球環境にやさしい農法と統合システム管理戦略を組み合わせることで、農業に対して自然の保全と再生のアプローチを取るレインフォレスト・アライアンスの環境再生型農業の定義に基づいており、土壌の健全性、農園内の生物多様性の保全、生態系の回復、農園の人々の生活向上を促進する方法を提示。紅茶農園は「スコアカード」を使用することで、現在の農業の実践と環境再生型農業に移行する際に改善すべき範囲を識別でき、農業の実施状況の評価と、環境再生型農業への移行に向けた改善点を明らかにできる。
現在、日本に輸入されている紅茶葉の約4割はスリランカ産。そのうち約2割が「キリン 午後の紅茶」に使われている。キリングループは、スリランカの茶葉生産地やそこで働く人々とのより良いパートナーシップを築き、安心しておいしく飲める紅茶飲料をつくり続けていくため、2013年から「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得支援活動を実施。2023年末で、スリランカの大農園の約3割に相当する94の大農園が認証を取得した。
キリンビバレッジは、2021年から、スリランカ産茶葉を100%使用。そのうち「レインフォレスト・アライアンス認証茶葉」を90%以上使用した「キリン 午後の紅茶 ストレートティー」250ml LLスリムを販売している。
スリランカの紅茶農園は、干ばつや大雨など気候変動の影響、都市化に伴う土地利用の変化影響など、さまざまな課題に直面している。キリングループは2022年7月に発行した「環境報告書2022」で、TNFDが提唱するLEAPアプローチに基づき、スリランカの紅茶農園を含む自然資本の開示を世界で初めて試行。2023年7月に発行した「環境報告書2023」では、スリランカの紅茶農園を対象としてLocate(自然との接点の発見)、Evaluate(依存関係や影響の分析)の詳細な分析を行い、2024年6月に発行。また、「環境報告書2024」では、Assess(リスクと機会の評価)と今後の方向性(Prepare:報告の準備)の詳細な分析・評価を行い、レインフォレスト・アライアンス認証取得のためのトレーニングや環境再生型農業への移行が、課題解決に有効な方法であることを明らかにして公開した。
しかし、すべての小農園が認証取得に至っていないことから、キリングループは、主に小農園の持続可能性向上に向けて、レインフォレスト・アライアンスと「スコアカード」開発を共同で行っている。
キリングループは、この活動を通じて、紅茶農園における環境再生型農業の実践を支援し、原料生産地の持続可能性を向上させることを目指す。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(132)-改正食料・農業・農村基本法(18)-2025年3月8日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(49)【防除学習帖】第288回2025年3月8日
-
農薬の正しい使い方(22)【今さら聞けない営農情報】第288回2025年3月8日
-
魚沼コシで目標販売価格2.8万~3.3万円 JA魚沼、生産者集会で示す 農家から歓迎と激励2025年3月7日
-
日本人と餅【酒井惇一・昔の農村・今の世の中】第331回2025年3月7日
-
【鈴木宣弘:食料・農業問題 本質と裏側】「コメ騒動」の原因と展望~再整理2025年3月7日
-
(425)世界の農業をめぐる大変化(過去60年)【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年3月7日
-
ラワンぶきのふきのとうから生まれた焼酎 JAあしょろ(北海道)2025年3月7日
-
寒暖差が育んだトマトのおいしさ凝縮 JA愛知東(愛知)2025年3月7日
-
給付還元利率 3年連続引き上げ 「制度」0.02%上げ0.95%に JA全国共済会2025年3月7日
-
「とやまGAP推進大会」に関係者約70人が参加 JA全農とやま2025年3月7日
-
新潟県産チューリップ出荷最盛期を前に「目合わせ会」 JA全農にいがた2025年3月7日
-
新潟空港で春の花と「越後姫」の紹介展示 JA全農にいがた、新潟市2025年3月7日
-
第1回ひるがの高原だいこん杯 だいこんを使った簡単レシピコンテスト JA全農岐阜2025年3月7日
-
令和7年度は事業開拓と業務効率化を推進 日本穀物検定協会2025年3月7日
-
【スマート農業の風】(12)ドローン散布とデータ農業2025年3月7日
-
小麦ブランの成分 免疫に働きかける新機能を発見 農研機構×日清製粉2025年3月7日
-
フードロス削減へ 乾燥野菜「野菜を食べる」シリーズ発売 農業総研×NTTアグリ2025年3月7日
-
外食市場調査1月度市場規模は3066億円2019年比94.6% コロナ禍以降で最も回復2025年3月7日
-
45年超の長期連用試験から畑地土壌炭素貯留効果を解明 国際農研2025年3月7日