スギ人工林による年間の炭素吸収量を将来予測 森林総研×岐阜大2025年3月3日
森林研究・整備機構森林総合研究所と岐阜大学の研究グループは、国内のスギ人工林を対象に、将来の年間の炭素吸収量について、気候変動、伐採および再造林のシナリオを元にモデルを用いて予測。2050年の年間炭素吸収量は2010年に比べ減少するが、地域の特徴を踏まえた森林管理を行うことにより減少幅を小さくできるという予測結果を得た。 国内約1000万ヘクタールの人工林は、炭素吸収能力が落ちても、将来にわたりネット・ゼロ社会の実現に貢献していくことができると考えられる。
図1. 伐採と再造林の進み具合によるスギ人工林の年間炭素吸収量の違い
研究グループは、日本のスギ人工林が1年間に大気から吸収する炭素の量をシミュレーションモデルにより将来予測した。その際、気候変動と人工林の伐採(収穫)および再造林の程度が異なる8つのシナリオを仮定。その結果、すべてのシナリオで2050年と2090年の炭素の年間吸収量は2010年よりも減少するという予測になった。
これは、伐採後に再造林が進まず広葉樹林に置き換わる面積があることと、伐採せず残った人工林が高齢化することの影響が大きいため。モデルの予測では西日本で伐採・再造林を積極的に行い、東日本では逆に長伐期化を目指すことで(図1の長伐期化)、年間炭素吸収量の減少幅を小さくできる可能性を示した。
同研究成果は2024年12日24日、『Journal of Environmental Management』誌でオンライン公開された。
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