『花屋ならではの農福連携』胡蝶蘭栽培「AlonAlon」と取引 雇用も開始 第一園芸2025年4月24日
第一園芸とNPO法人AlonAlon(千葉県いすみ市)は、1月から開始した胡蝶蘭の取引につづき、4月から新たにスタッフの雇用も始め、農福連携の取り組みを開始した。
AlonAlonオーキッドガーデンで胡蝶蘭を栽培する生産者
AlonAlonが運営する「AlonAlonオーキッドガーデン」(千葉県富津市)は、農福連携の新しいビジネスモデルで、知的・精神障がいのある人に、生きがい・働きがいのある安定した仕事を創ることを目指す就労継続支援B型事業所。開園当初は「障がい者の作った胡蝶蘭鉢は取り扱いが難しい」という理由で生花店から取引を断られるケースが多く、AlonAlonが生産者であることを伏せて卸すこともあった。
しかし、障がい者と胡蝶蘭鉢作りを続ける中で、彼らの特性が生産において大きな強みになることが明らかに。例えば、自閉症特有のこだわりの強さは、プロが作る商品と比べても勝るとも劣らない高品質な胡蝶蘭鉢を生み出す要素となり、知的障がいを持つ人の作業の継続力は、生産性を向上させる重要な力となっている。また、SDGsの理念が広がる中、障がい者の作った花を受け入れる社会的な環境も整備されつつある。
胡蝶蘭の出荷作業を行う第一園芸のスタッフ
第一園芸は1898(明治31)年に、三井家別邸内に設立された三井農園を起源とし、西洋式花きの育種・栽培・販売に時代に先駆けていち早く取り組んだ日本の園芸文化のパイオニア。今では祝い花のスタンダードになっている胡蝶蘭だが、約50年前まではカトレアなどが高級ギフト花の定番で、胡蝶蘭の人気はなかった。
当時の胡蝶蘭は花も小さく、花のついた茎が伸びる方向も花の向きもバラバラで、現在の花の向きが正面を向いて揃った胡蝶蘭のスタイルは、第一園芸が1978年頃に開発したもの。花を針金に沿わせ前方に垂らし花の向きを合わせ、数鉢を寄せ植えに仕立て、ギフトにふさわしい華やかな形とした。
そんな第一園芸にとって特別な商品である胡蝶蘭は、高い品質条件をクリアしたもののみを販売。AlonAlonの胡蝶蘭はこの品質条件を満たすことから、1月に取引を始め、新年度4月の人事異動等に伴う胡蝶蘭の最大の需要期にも多くの取引を行った。
さらに、4月1日からはAlonAlonオーキッドガーデン(就B)の利用者も雇用。AlonAlonと協力し、同社が新たに雇用した社員も生産に関わることで、第一園芸の贈答用の花鉢の中で売上のトップを長年保ち続けている胡蝶蘭の一部を、生産・仕入れから販売まで一貫して行うことができるようになった。
第一園芸の山村社長、同人事部長による農園視察
今後は、胡蝶蘭の取引・スタッフの雇用だけでなく、人材の交流も視野に入れている。農園で働く第一園芸スタッフの同期の新入社員や胡蝶蘭の関係部署の担当者が、AlonAlonオーキッドガーデンに出向き、見学や現地確認、AlonAlonで働く第一園芸スタッフがイベントに参加するなど双方向で交流を目指す。
AlonAlonとの胡蝶蘭における農福連携の取組について第一園芸の山村 勝治社長は「障がい者の方の継続力や集中力といった特性が高い品質の胡蝶蘭鉢作りに生かされるというお話を伺い、"花屋だからこそできる農福連携の可能性"に気付き、かねてより活動を続けてこられたAlonAlonさんと当社の目指すべき形が重なり、このような取り組みを始めることになった。今後も様々な可能性を秘めた農福連携に関わる部分を広げていきたい」と話している。
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