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流通:加工食品の原料原産地表示を考える

加工食品の原料原産地表示を考える[3] "誤認"の解消と国産品を選択できる表示で国内農業に貢献 JA全農の自主基準2013年4月1日

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・表示のパターンを工夫
・中間加工品の原料産地も表示
・きめ細かく情報開示

 加工食品の原料原産地表示の拡大が進まないなか、JA全農では原則としてすべての加工食品を表示対象とする自主基準を策定、全農グループで表示の切り替えを進めている。 前回も紹介したように、現行制度では輸入原料であっても表示対象とならない事例が多く、消費者に国産との誤認を与えている可能性がある。自主基準は原産地情報をきちんと開示するとともに、国産品にあっては「国産」と表示することで消費者に選択を促進することが狙いだ。

◆表示のパターンを工夫

  今回は自主基準に基づく具体的な表示例について紹介する。
 自主基準で表示対象とされた加工食品の原料原産地表示基準は「原材料に占める重量の割合が上位2位までのもの」で、かつ「重量割合が5%以上のもの」とされている。3位以下のものの表示は任意とされている。
 その表記は国産原料の場合は「国産」、輸入原料の場合は「原産国名」の記載を原則とする。このうち国産の場合、農畜産物は都道府県名や一般に知られている地名、水産物の場合は水域名なども記載できる。原産地が複数の場合は重量割合の多い順に2位まで記載する。これらは現行制度に即した表示基準だ。
 ただ、加工食品の原料は頻繁に調達先が変更される場合や、中間加工品として輸入し原材料に使用している場合など、原料の原産地まで特定して表示することが難しいこともある。
 これがこれまで食品・流通業界などが原料原産地表示拡大の困難さを指摘してきた理由のひとつでもあるが、全農の自主基準の柱のひとつが海外で製造した中間加工品であっても原産地表示の対象にしたことだ。
 そのための原産地情報の表示のパターンを▽原料原産地が特定できる場合▽原料原産地の特定が困難な場合、に分けて提示している。

◆中間加工品の原料産地も表示

 代表的な商品として挙げているのは「しょうゆ」。原材料に使用されている中間加工品である「脱脂加工大豆」についても、その大豆がどこで生産されたものかを別掲の表のように表示する。
 原料原産地が特定できる場合は、▽原材料名の後に( )をつけてそのなかに原産地を表示する(基本型1)方法がある。原料大豆が中国産、インド産であることが分かっている場合は、それぞれの国名を記載する。
 もうひとつの方法は▽原料原産地欄を追加して表示する(基本型2)だ。表のように「原料原産地」という欄を新たに設け、そこに記載する。
 さらにもうひとつのパターンとして▽一括表示枠の外に表示する(基本型3)形式も設けた。

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 一方、原料原産地の特定が困難な場合は、以下のように一括表示枠外に表示する。
▽中間加工品の脱脂加工大豆が国内で製造されたものであっても、原料は輸入品でその産地や配分が頻繁に変わる場合は、『脱脂加工大豆の原料大豆は輸入品を使用しています』と記載する。
▽原料である大豆の原産地は特定できないものの、脱脂加工大豆は輸入品で製造地(原産国)が中国だと分かっている場合は、『脱脂加工大豆の原産国(製造地)は中国です』と記載する。
さらに、▽脱脂加工大豆の製造地は特定できないものの、輸入品であることは分かっている場合は、『脱脂加工大豆は輸入品を使用しています』と記載する。
 そのうえで特殊な例として、使用原料が国産品か輸入品なのかが特定できない場合、また使用割合も特定できない場合は、『原料大豆の原産地については下記までお尋ねを』などと記載し、消費者からの問い合わせ対応をすることにしている。

◆きめ細かく情報開示

 このように自主基準では原料調達の実態に合わせて表示方法を工夫、きめ細かく原料原産地情報を開示していく。
 ここで紹介した「しょうゆ」の例では、次のようなケースもある。原材料で「大豆」と「脱脂加工大豆」が重量割合で1位、2位を占めている場合だ。原料はどちらも大豆を使用しているが、原産地表示はそれぞれの原料ごとに表示する。
 たとえば、米国産大豆が大豆にも脱脂加工大豆にも使用されているが場合、基本型?にしたがって表示をすると、原材料名の欄に「大豆(アメリカ、カナダ)、脱脂加工大豆[大豆(アメリカ、ブラジル、その他」]と記載されることになる。 このような例として「なたね」と「なたね油」、「小麦」と「小麦粉」、「米」と「上新粉」、「果実」と「果汁」などがある。

 (以下、次回に続く)


【シリーズ・加工食品の原料原産地表示を考える】

第1回 食品表示、一元化制度を創設 (13.03.12)

第2回 全農グループが自主基準で表示 (13.03.19)

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