流通:加工食品の原料原産地表示を考える
加工食品の原料原産地表示を考える[4]「複合原材料」の原産地表示の実際(JA全農の自主基準)2013年4月10日
・「複合原材料」の位置づけ
・個別原料の合算はしない
原則としてすべての加工食品を原料原産地表示の対象とするJA全農の自主基準。前回に引き続き具体例な表示例について解説する。
◆「複合原材料」の位置づけ
自主基準では、原料原産地表示が必要な「主な原料」を原料に使われた主要な一次産品と規定し、そのうえで▽重量割合が上位2位まで、かつ▽重量割合が5%以上のもの、と定めている。
現在のJAS法の表示基準では対象食品群が限られているうえに(22食品群)、単一の農畜水産物の重量割合が50%以上のものとされていることにくらべれば、大幅な情報開示が行われることになる。 では、原材料のなかに2種類以上の原料を使用した「複合原材料」がある場合はどのように原産地表示対象の原料を決めるのか?
複合原材料が使用されている食品とは、たとえば「焼きそばパン」などである。この場合、「焼きそば」と「パン」が複合原材料となり、焼きそばは“めん”の小麦、“具”の豚肉やキャベツなどが一次産品であり、パンのそれは小麦だ。
このように加工食品の原材料は一次産品だけでなく、一次産品と複合原材料の組み合わせでつくられているものが多い。
そこで自主基準では原料原産地表示のために、まず▽複合原材料も含めて製品全体に占める構成比を算出して1位、2位を割り出す、という手順をふむ。その結果、たとえば、1次産品が1位、2位が複合原材料となった場合は、複合原材料に含まれる一次産品が表示対象となる。もちろん1、2位とも複合原材料であればそれぞれの一次産品が対象となる。
そのうえで▽使用されている一次産品の製品全体に占める重量割合を算出し1位、2位を明らかにして表示対象とする、としている。
◆個別原料の合算はしない
ただし、複合原材料に同じ一次産品が使用されていても、それらを合算して判断はしない。たとえば、焼きそばパンを例にとれば、「めん」にも「パン」にも小麦が使用されているが、“小麦”として合算はしない、という考え方だ。
表示例1の「調理パン」では複合原材料の1位は「焼きそば」、2位は「パン」だが、原産地は“めんの小麦粉”と豚肉のみに表示されていて“パンの小麦粉”には原産地表示がされない。これは一次産品としての1位は焼きそばに使用されている小麦粉で2位が豚肉のため。パンに使用されている小麦粉は3位だから任意での表示ということになる。
これがかりに豚肉よりも“パンの小麦粉”のほうが重量割合が多く全体の2位であれば、パンの小麦粉のほうを原産地表示の対象とし、豚肉は任意表示となる、というのが自主基準の考え方である。
表示例2の「菓子パン」は一次産品には小麦のほか、砂糖や卵なども使用されているが、重量構成比では1位の小麦粉に次いで、複合原材料の「あん」が2位となったため、一次産品の小豆が表示対象となった事例である。
この場合、小豆よりも重量割合が多い一次産品があったとしても、製品全体に占める割合が複合原料である「あん」よりも少ないため表示の対象にはならない。
(以下、次回に続く)
【シリーズ・加工食品の原料原産地表示を考える】
・第1回 食品表示、一元化制度を創設 (13.03.12)
・第2回 全農グループが自主基準で表示 (13.03.19)
・第3回 "誤認"の解消と国産品を選択できる表示で国内農業に貢献(2013.04.01)
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