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流通:食は医力

【シリーズ・食は医力】第65回 蛋白質が素晴らしい卵2014年9月25日

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【浅野純次 / 経済倶楽部前理事長 】

・豊富な必須アミノ酸
・バランスよい栄養食品
・野菜や海藻と一緒に
・どれでも栄養価は同じ

 卵は物価の優等生とよく言われます。昭和30年頃、卵1個、豆腐一丁、牛乳1合が10円ちょっとでほとんど同じでした。でも60年後の今、卵はいまだに2倍がやっとです。
 生産者の立場からは優等生どころの話ではないでしょうが、卵の生産体系が激変し、供給過剰ぎみなせいもあります。

◆豊富な必須アミノ酸

 卵丼やオムレツの原価率の低さを外食で想像するように、消費者としては安さを大いに活用したいものです。我が家ではモヤシの卵炒めがよく登場するので、安さと栄養では最高の組み合わせの一つかと思いながらいただいています。
 栄養価というとき、卵は何より蛋白質が素晴らしいのですね。蛋白質の栄養価を表すときに使うのがプロテインスコアといって、食品ごとの蛋白質の量と質が示される数値なのですが、これによると卵は抜群です。
 蛋白質をつくっているアミノ酸の中には体内では合成できないため食品から摂取するしかない必須アミノ酸が8種類あります。肉や魚ももちろん豊富なアミノ酸を含んでいますが、含硫アミノ酸とトリプトファンについては物足りません。

 

◆バランスよい栄養食品

 その点、卵の蛋白質はバランスがとれていて質量ともに百点満点と言ってよいでしょう。
 しかも消化率、吸収率が非常に高いのも卵、特に半熟は優れた特徴をもっています。乳幼児や病人に昔から卵を多用してきたのもそのためです。
 私も子どもの頃、風邪とかおなかを壊したとき、庭に飼っていた鶏の卵の半熟をよく食べさせられたものでした。
 蛋白質に限らず、卵はバランスのとれた栄養食品です。脂質、ビタミン、ミネラルも豊富で、ビタミンA、B群、D、Eが肉や魚以上というのは案外知られていません。
 さらにカルシウム、鉄、リン、亜鉛なども多いので、特に女性や老人にはお勧めです。ビタミンとミネラルを含むのはもっぱら黄身の部分で、白身(卵白)には蛋白質のほかは大半が水分です。

 

◆野菜や海藻と一緒に

 ところでコレステロールが多いので卵の食べすぎはよくないと昔から言われてきました。子どもが卵大好きで、日に何個くらまで与えてもいいでしょうか、などという質問もしばしばあります。
 しかし一日に1個や2個なら何も問題はないでしょう。日本人の平均消費は日に1個なので、多い人は日に2個、3個と食べていることになります。
 ただしその際、いくら卵好きでも、ご飯に生卵だけ、パンにハムエッグだけの朝食というのはちょっと問題で、野菜や海藻を一緒にたくさん食べるようにしましょう。
 コレステロールそのものは悪者ではありません。善玉コレステロール(HDL)は非常に大事で、悪玉(LDL)が多くならないように気をつけさえすればいいのです。そのためには野菜や海藻を多く取って体を健全な状態にしておくことが重要です。
 なお、食物中のコレステロールは飽和脂肪酸と結びつくと悪玉化しやすいので、卵料理には飽和脂肪酸の多いラードは避け、植物油を使うのがいいでしょう。肉・卵料理ならヒレ肉や鶏肉が理想的です。

 

◆どれでも栄養価は同じ

 卵の種類はいろいろです。地卵や有精卵のようにケージ飼いでないものは、価格は高めですが、栄養価は変わりません。わが家はもっぱら有精卵ですけれど、命のある自然なのがいいという好みのようなものです。
 赤玉、ヨード卵などは飼料が違うのですが、薬剤の添加が少ないのが売り物のものもあります。名古屋コーチン卵は高めで、味はしっかりしています。
 黄身が濃い色をしているのが良い卵の証拠という人もいますが、これは俗説です。飼料にパプリカなどの野菜を加えれば濃い色になります。とはいえ気分も大事ですから、濃い色の卵を味わって元気をもらうのも結構なことだと思います。

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