流通:食は医力
【シリーズ・食は医力】第70回 便秘は健康と美肌の大敵2015年2月17日
・百害あって一利なし
・大腸ガンの原因にも
・食物繊維・水分・運動を
・前髪しかないお客様
病気なら大抵は病院に行きます。でも「病状」には心配しても、「症状」だとほっておくことが多いのでは? その症状の中で最重要なものの一つが便秘だというのが私のかねての持論です。
便秘なんて病気ではないし、便秘で死んだなんて聞いたこともないと言った友人がいました。でもどうしてどうして便秘はいろんな疾患や不健康のもとにもなるし、ついには重篤化することもある怖い症状なのです。
◆百害あって一利なし
便秘こそ「未病」が大事です。「未病」つまり「病気以前、ほぼ病気」を解決する工夫ですね。おカネと違っていくら溜め込んでも百害あって一利なしですから、日々心掛けることが肝心です。
では便秘の百害とは何か。大腸に滞留した物質は腐敗して血液を汚していきます。具体的にはスカトール、インドール、硫化水素、アンモニア等々ですが、これら毒素が血液に乗って臓器や関節や皮膚へ流れ着きます。
皮膚ですぐ思い浮かぶのがあの嫌な吹き出物。便秘が吹き出物と深い関係にあることは常識です。その吹き出物が内臓や関節にも出現すると考えたら、ぞっとしませんか。
◆大腸ガンの原因にも
腐敗に限らず、食物に含まれている有害物質を排出する役目も排便はつかさどっています。重金属はその最たるものだし、食物にはさまざまな化学物質も入っていますから、これらが便秘のおかげで体中に広がる前に、早々に体外へ出してしまうことが大事なのです。
日本人のがんは、戦前戦後は胃がんや肺がんが多かったのが、今では大腸がんや乳がんが圧倒的に多くなっています。これは食生活の洋風化と大いにかかわっているという説が有力で、特に大腸がんは、便もどきの腐敗した食物が大腸に長期滞留することが原因といってまず間違いないでしょう。
ライオンや虎の腸が牛や馬の腸より短いことはご存じですか。米食、雑穀食で1万年以上もきた日本人の腸は、牛馬には負けますが肉食の欧米人よりは長いので、穀類や野菜の摂取が少ないと便秘になりやすく、大腸がんを発症する可能性が大きくなります。
今や便秘は日本人の国民病である、と言うお医者さんもいるほどなのですが、ではどうすれば便秘は防げるか。
◆食物繊維・水分・運動を
いちばん大事なのは食物繊維を十分取ることです。このことは第55回の「食物繊維」でるる述べたので繰り返しませんが、穀物(できれば精製度の低いもの)、野菜、海藻、豆類、ナッツなど、単品ではキノコ、こんにゃく、おからに豊富に含まれています。
次に水分を十分に取ること。特に起きがけに飲む水は、胃腸の運動に刺激を与えます。昼間でも寝る前でもトイレを気にして水分を取らないと便秘になるので注意しましょう。
運動も大事で、歩くとか体操とかに加えて、腹筋などおなかの運動で排便が促されます。おなかを力ませて圧迫することも効果的で、和式のトイレ(要するにお手洗い)はその点、まことに好ましいものでした。
和洋論議はともかく毎朝、狭い空間で便意を待たないといけません。時間がないといってそそくさと飛び出してしまっていては、自分で便秘を呼び寄せているようなものです。
もう10分早く起き、トイレにはラジオと読み物でも置いて、いざとなれば長期戦の構えで臨むのが理想的です。
◆前髪しかないお客様
便意というお客様は前髪しかないので、いったん取り逃すと、夕方や夜では後ろ髪をつかむことは難しい。後になるほど水分が吸収されて硬くなり、ますます排便しにくいという悪循環になるのです。
精神的なものも影響します。便秘にはストレスや神経過敏から生じるタイプがあるので、日頃からゆったりした気持ちを保つようにすれば一石二鳥でしょう。
というわけで生活習慣と密接にかかわることでもあり、日常の注意と努力で健康、美肌、老化防止、良好な精神状態を手に入れてください。これらはみな便秘が大敵なことはもう十分おわかりですね。
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