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流通:激変する食品スーパー

【第4回】「「いいもの」と「安いもの」対立軸にならず共存2015年7月7日

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差別化の2つの要素高付加価値とディスカウント

 「高付加価値とディスカウント」という大きく2つの差別化要素を訴求して事業を展開する食品スーパーは多い。昔から取り組まれてきた要素ではあるが、年月の経過とともに内容は高度化かつ複雑化している。

◆需要開拓に機能性訴求

 「高付加価値」の例では、デパ地下で扱うようなハイクオリティーな商品の充実が挙げられる。とりわけ、生鮮食品の分野においては、知名度のある産地(漁港)や銘柄商品、希少部位の取り扱いや、調理負担の少ない半加工品の開発、鮮度を重視した販売形態(今朝採れ)などが採用されている。
 農産物でもそれは顕著だ。ブランド力のある産地の果物や野菜をはじめ、産直コーナーを設けている売リ場も珍しくなくなった。その産直コーナーも、一部では近郊だけでは品揃えや供給量にばらつきが出るため、定期的に産地を入れ替えて売リ場の魅力を高めようとする動きがある。


◆高品質化へPBシフト

seri1507070801.jpg また、今月より販売が始まった「機能性表示食品」は、生鮮品も対象になっている。現状、「産地によって成分がばらつく」懸念があり申請しているところは少ないものの、機能性を訴求するパッケージの商品は増加傾向にある。消費者の健康志向が今後さらに高まるのは間違いなく、新たな需要開拓の切り口として重視される(写真1 増加する機能性訴求商品)。
 また、これまで主に価格志向の強い商品構成であった、プライベートブランド(PB)においても、最近では高品質化へのシフトが始まっている。ライフコーポレーションでは、新業態の「セントラルスクエア」を関西圏で4店舗(年末には首都圏でもオープン予定)展開しているが、注力商品の1つに高品質PB「ライフプレミアム」がある。
 その惣菜を見ると、委託された業者が製造するアウトパック加工商品が展開されている(写真2 「ライフプレミアム」の商品と表示ラベル)。

seri1507070802.jpg

 これまでの食品スーパーにおける高付加価値惣菜といえば、インストア加工を前提としたものが主流であったのを鑑みれば見逃せないポイントである(インストア加工、アウトパック加工については、本紙4月30日号参照)。
 「手作り」「できたて」だけでなく、「味」や「素材」へのこだわりと製造への生鮮性や効率性とのバランスを取る動きが、高付加価値への対応から見て取れる。


◆コスト圧縮価格競争へ

 他方、「ディスカウント」では、単純なバイイングパワーによる仕入れコストの削減だけではない取組みが注目されている。
 例えば、少ない人員で店舗運営が行える(これをローコストオペレーションと呼ぶ)ように、作業方法や売リ場の什器をはじめとした設備を作業効率の良いものに変更している。また、これまで社員でなければできなかった業務をパート・アルバイトができるように見直しを図り、パート比率の増大を図るケースもローコストオペレーションの1つの流れといえる。
 このようにさまざまな方法をとりながら、オペレーション面での取り組みを強化しているチェーンは販売費および一般管理費(販管費)の占める割合が小さく、競争力の源泉となっている。販売コストを圧縮し、少ない利益(荒利益)でも十分採算が取れるようにビジネスモデルを構築し、競合他店との価格競争を仕掛けているのだ。


◆変貌遂げる物流センター

 店舗以外でも革新は進んでいる。商品流通の起点である物流センターは、長い間コストセンター(費用だけがかかるような部門)と揶揄されていたが、現在ではプロフィットセンター(費用だけでなく収益も獲得できる部門)として大きな変貌を遂げている。
 商品加工に加えて、リサイクル処理や回収の代行、ミネラルウォーターの充填等を行い、収益を確保している物流センター事例もある。今後は、より付加価値を高めるために物流センターを活用するチェーンが増えていくだろう。
 物流センター活用の重要性は今後ますます高まってくる。新たな競争軸として注目をしたい。


◆利益度外視集客に意欲

 商品を供給する生産者側は、ディスカウントに対する動向に注視しなければならない。
 通常の取引では考えられない、利益を度外視したような店頭価格で訴求を図る場合があるからだ。ローコストオペレーションによるディスカウントは、仕入れ動向とは関係なく、価格競争を仕掛けてくる。利益率の確保は念頭にあるものの、それ以上に集客力の強化に意欲的である。それはブランド品であっても例外ではない。必ずしも「商品価値=価格」ではないが、価格が下落すると商品イメージ悪化の恐れもあるので、自分たちの商品に対する情報収集は欠かさない意識が大切だ。
 ここまで、高付加価値とディスカウントを説明してきたが、その線引きが曖昧になりつつあることを最後に紹介したい。
 つまり、「いいもの」と「安いもの」は今や対立軸になっておらず、共存しているのだ。購買頻度の高い生活必需品については、ディスカウントにも対抗した低価格で販売を行っている高付加価値品に取り組むチェーンもある。
 一方で、ディスカントもまた、演出や素材にこだわり、価格以外の魅力を訴求しようと模索している。私はそれを「ハイブリット」と読んでいるが、今後はこのようなハイブリット型の食品スーパーが消費者の支持を集めていく。それは、お客様にもまた、高付加価値とディスカウントを同時に満たしたいという心理があるからだ。
 生産者側もどちらか一方に対応するのではなく、バランスを保ちながらどのように事業を発展していくか、期待される。

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