豪州のGM作物栽培禁止求める 生活クラブ2013年11月6日
生協の生活クラブ連合会は、オーストラリアのタスマニア州が遺伝子組み換え作物の栽培モラトリアム(期限付き栽培禁止)の見直し作業を行っているのを受け、モラトリアム継続を求めるパブリックコメントを提出した。
生活クラブ連合会は、豪州タスマニア州がGM作物のモラトリアム(期限付き栽培禁止)を実施していることから、タスマニア島の生産者が出資する出荷会社との直接の提携関係強化をすすめている。
現在のモラトリアムの期限は2014年11月で、州政府は現在その見直し作業に入っているが、生活クラブはモラトリアムの延長を求めて、州政府の第一次産業省内に設置されたプロジェクトチームにあてて10月10日、パブリックコメントを提出した。
◇
パブリックコメントの要旨は以下の通り。
生活クラブは自分たちが取り扱う食材について、遺伝子組み換え原料を原則的に使わない方針をとっています。
日本人はナタネ油を日常的に料理に使います。生活クラブで取り扱うナタネ油を製造する米澤製油は、原料のナタネをカナダから輸入していましたが、1996年にカナダでGM作物の栽培が始まり、NON-GMナタネの確保がカナダではできなくなったことから、1997年、西オーストラリア州からのNON-GMナタネの輸入を始めました。現在、5000トンのNON-GMナタネを毎年、西オーストラリアから輸入しています。
その西オーストラリア州では08年からGMナタネの作付が始まり、それ以来、IPハンドリングでNON-GMナタネの輸入を行なっていますが、GM作物のモラトリアムを行なっているタスマニアからもNON-GMナタネを輸入できないかと、タスマニア州の会社と直接契約を結び、NON-GMナタネの輸入を始めようとしているところです。
以上述べたような立場から、タスマニア州のGM作物モラトリアムの見直しについて、以下の意見を提出します。
○GM作物に関する国内・国際政策と第一次産業
タスマニア州の農産物は、タスマニア・ビーフを始め、日本の市場で高い評価を受けています。GMフリー政策を始め、環境に配慮したタスマニア州の政策によって、タスマニア州の農産物全体の評価が高まっていると考えます。私たちが安心してタスマニアの農産物(特にナタネ)を買い続けられるよう、GM作物のモラトリアムを継続してください。
○遺伝子組み換え作物がタスマニアの第一次産業(食品・非食品とも)に導入されることによって市場に与える利益・不利益
北海道の2008年の調査によると、遺伝子組換え食品を食べることについては、「不安を感じる」が46.2%「やや不安を感じる」が34.2%で、8割を超える道民が不安を抱いていることが分かります。GMフリーのタスマニア州の農産物は、日本の消費者の信頼を得ています。モラトリアムが解除されれば、日本の消費者の信頼が失われる可能性があります。
米国でもいま、遺伝子組み換え食品の表示を求める消費者の声が高まりを見せています。モラトリアムを継続することによって、世界市場におけるタスマニアの農産物の価値が高まると考えます。
西オーストラリア州では、隣の農地から飛ばされてきたGMナタネによって、有機農家が有機認証を取り消されるという事故が起き、有機農家がGM栽培農家を相手どって訴訟を起こす事態となっています。タスマニア州の有機農産物市場はいま成長を続けていますが、GM作物が導入されれば、有機農家の有機認証が危険にさらされ、有機農産物市場の成長が阻害される恐れがあります。
日本ではタスマニアは、世界遺産のタスマニア原生地域に象徴される豊かな自然で知られ、豊かな自然の中で生産されるタスマニア産農産物に対しては、「クリーンでグリーンな」(安心で環境にやさしい)イメージが持たれています。GM作物のモラトリアム解除でこのイメージを壊すのではなく、「クリーン」と「グリーン」を推進することこそ、タスマニアの農産物の日本市場での価値を高めると考えます。
○その他の見直しに関連する問題
私たちがタスマニアから安心してNON-GMナタネを買い続けることができるよう、モラトリアムを継続してください。
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