遺伝子組換えカイコ 隔離飼育試験を承認へ2014年2月24日
農水省は、(独)農業生物資源研究所(生物研)が承認申請していた遺伝子組換えカイコ(緑色蛍光シルク産生)の隔離飼育試験について、このほど生物多様性への影響のおそれのないことを確認した。この結果をもとにパブリックコメントを募集し、問題がなければ当該隔離飼育試験の実施を承認することになる。
生物研が申請したのは、オワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質遺伝子を組み込んだ遺伝子組換えカイコ。このカイコは緑色の蛍光色を発する。ほかに赤や橙色の蛍光色や、極細で光沢に優れたシルクなども開発を進めている。
シルクだけではなく、医薬品や人工血管などの医療用品、さらに化粧品などに利用するための研究開発も進んでいる。とくにカイコは比較的小さなロットでも飼育できるうえ、様々な用途に少量多品目なタンパク質を供給することができる。
ただ、遺伝子組換えカイコを産業利用するには国内の野生動植物などの生物多様性に悪影響がないように配慮しなければならない。このため一般的な農家で飼育するためには、カルタヘナ法に基づき、農水大臣と環境大臣の承認を得る必要がある。
今回の生物研の申請に対して、農水省と環境省は生物多様性影響評価検討会、昆虫分科会を5回、2月初めに最終審査会の総合検討会を開き、「限定された環境下にある隔離飼育区画において、一定の作業要領に従いながら、隔離飼育区域において飼育試験を実施する範囲内では、生物多様性に悪影響が生じるおそれはない」との結論に達した。
今後、当該隔離飼育試験の実施が承認されたばあいは、生物多様性影響評価のデータなどをさらに充実させ、農家段階での遺伝子組換えカイコの飼育(一般的な私使用のための承認申請)の可否を検討する。
(写真)
現在開発を進めている蛍光絹糸の例
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