クモの糸をカイコが紡ぐ 生物研が実用へ2014年8月28日
農業生物資源研究所(生物研)は、このほどクモとカイコの糸の性質を合せ持つ新しいシルク(クモ糸シルク)を生産するカイコの作出に成功した。通常のシルクと同じように織物加工が可能。通常のシルクの1.5倍の強度があり、幅広い応用が期待できる。
クモの糸は、強くて伸びる性質を持つ繊維だが、クモは共食いする性質があり、人工的な生産は困難だった。微生物でクモ糸タンパク質をつくることは可能だが、繊維化の過程が必要で、強度も弱く、機械加工が難しいなどの問題があった。
生物研は、実際のシルク生産に使うカイコ品種にクモ糸遺伝子を導入し、強くて切れにくいクモ糸の性質とカイコ本来の光沢や柔らかさを合わせ持つクモ糸シルクを生産することに成功した。
強度で鋼鉄の20倍の切れにくさを持つといわれるアメリカのジョロウグモの縦糸に匹敵するという。
今後さらに強度や機能性を高めることで、手術用縫合、衣料素材や防災ロープ・防護服などの特殊素材の開発が期待される。
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