天候不順による農作物被害防止・技術指導の徹底 農水省2015年7月15日
エルニーニョ現象や台風などの影響により全国的に天候不順となる可能性があるため、農林水産省は14日、日照不足及び長雨並びに今夏の台風による農作物の被害防止に向けて、地方農政局を通じて各都道府県・各管内の気象や作物の生育状況等に応じた適切な技術指導を行うよう通達した。
西日本において九州地方を中心に6月初めから降水量が多く、日照時間が少ない状態が続いている。これから1か月の降水量もほぼ全国的に多いとみられており、さらに冬にかけてエルニーニョ現象(海面水温が平年に比べ暖かい状態が1年ほど続くこと)が続く予想がでている。今後も全国的に天候不順となる可能性があり、農作物等への影響が懸念される。加えて梅雨前線の活発化や台風の影響も考えられるため、今後とも気象庁が発表する台風情報に留意する必要がある。
これらのことから農林水産省は、「農業技術の基本指針」を踏まえ、各地域の状況に応じた適切な対応が行われるよう技術指導の徹底を図ることを通達した。
また産地や生産者には、気象庁と農林水産省が共同で開発した農業生産活動に役立つ気象情報を検索できるポータルサイト「農業気象」を活用して対策を講じるよう呼びかけている。
豪雨、台風等の異常出水時には、農作業及び農地・農業用施設の見回りの際に気象情報を十分に確認すること。状況が治まるまで行わないなど、人命を最優先し二次災害の防止を徹底するよう注意喚起している。
◆日照不足及び長雨等の天候不順に係る対策
病害虫防除全般では、日照不足などが続くことにより、農作物に病害が発生しやすくなる。▽今後の天候の推移に注意し、▽圃場の観察を定期的に行い、▽農林水産省や都道府県病害虫防除所等から発表される病害虫発生情報などに基づき適時防除に努めること。
水稲では、日照不足による軟弱徒長気味の生育が見込まれる場合、穂肥について葉色、生育診断などに基づき、適期適量の施用を徹底する。特に気象の見通しや、いもち病の発生状況に留意し、窒素質肥料の過剰施用を避ける。
低温・日照不足傾向が見込まれるときは、葉いもちの適期防除に努め、さらに進展がみられるときは、出穂期を的確に把握し、穂ばらみ期(出穂直前)と穂揃期の防除を確実に実施すること。
麦類では、成熟期を迎えた地域で品質の低下などが懸念されるため、収穫適期を逃さないよう、圃場毎の登熟状況を把握し、計画的な収穫作業に努める。倒伏や赤かび病などが発生している圃場は、健全な圃場と分けて収穫・乾燥調製を行うことにより品質確保に留意する。
園芸作物では、生育・着果不良の発生や病害が多発しやすいので気象の推移と生育状況に十分留意し、排水対策や病害虫防除対策を徹底する。また品目によって雨よけ対策などを講じる。
◆台風に係る対策
局地的な大雨が予想される地域では、圃場の灌水のおそれがあるので、速やかな排水に備える。特に、これまで灌水したことのある圃場や地域は、重点的に対応を進める。
各地方農政局土地改良技術事務所で圃場が灌水、またそのおそれがある場合、排水対策に活用できる災害応急用ポンプの貸し出しがあるので、確認すること。
台風通過後の対策として、適時適切な防除を心がける。特に都道府県病害虫防除所から発表される発生予察情報に基づき適期防除に努める。
(関連記事)
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