「新たな育種技術(NPBT)研究会」 農林水産省 報告書を取り纏め公表2015年9月16日
農林水産省は、平成25年10月から平成27年7月まで7回にわたり「新たな育種技術研究会」を開催、このたび報告書を取り纏め、9月11日に公表した。
近年、国内外では、通常の農作物を育成する一部過程に、遺伝子組換え技術を適用する「新たな育種技術:NPBT」の開発・実用化が図られつつあり、遺伝子組換え規制上の取扱いなどが議論されている。
NPBTによって開発された農産物は、遺伝子組換え技術に用いた外来の遺伝子が残存せず、慣行の育種方法によっても同等のものが作出され得るため、結果として日本の遺伝子組換え規制から除外できるものが存在する。
農水省では、農林水産業の成長産業化に向け、国産農林水産物の「強み」を生み出す画期的な新品種開発の加速化を図っており、現在、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム:SIP」において、関係府省の協力を得て、NPBTなど次世代育種システムの開発を推進している。
このため、国内外におけるNPBTの研究開発動向や、規制上の取扱いに関する情報を収集・整理することにより、研究開発を適正に推進し、その研究成果の社会的実用化を図ることを目的に平成25年10月に有識者をメンバーとする研究会を設置、このほど報告書を取り纏めたものだ。
NPBTなど次世代育種システムの活用を促進することで、消費者にはどのようなメリットが生まれるのか。例えば、ジャガイモの新芽には、天然の毒素ソラニンが含まれていて、下痢・腹痛などを生じさせることがあるが、ソラニンを含まないジャガイモを育成することも可能だ。
コメのアレルギー患者は、全国で30万人ほど居る。コメに含まれるグロブリン(タンパク質)がアレルギーの原因物質であり、グロブリンの生成を抑制した低アレルゲン米を生産できればコメアレルギーに悩んでいる人達には一大朗報となる。花粉形成に係わる遺伝子を調節した無花粉スギの育成も進んでいる。
NPBTなど次世代育種システムの技術は、多くの可能性と課題を孕んでいるだけに、今後の更なる研究の進化が待たれる。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日