寒冷地でも活用でき、運転費用20分の1 「ハイブリッド伏流式人工ろ過システム」2016年10月7日
農研機構は(株)たすく、北海道大学、道立総合研究機構などと協力し、「ハイブリッド伏流式人工ろ過システム」を開発。5~10年の長期現地実証試験を行った結果、冬も含めた長期間でも浄化性能を維持できることを10月5日に明らかにした。
酪農施設、養豚場、養鶏場などから排出される汚水は、生活排水と比較して有機物濃度が高く、そのまま放流すると河川などの汚濁源となるため適切な処理が必要。従来の機械的汚水処理法は運転や導入コストが高いことが課題だった。
1970年以降、海外ではヨシなどを植栽した砂利などの層で汚水をろ過する伏流式人工湿地が普及していた。しかし、寒冷地でこれを行う場合、凍結や目詰まりを起こす欠点があった。
そのため、農研機構は企業などと協力し、安全バイパスや人工軽石(スーパーソル)を使って、有機物の目詰まりや凍結などの問題を解消するシステムを開発。さらに冬も含めた長期間の現地実証試験も行い、性能維持ができることを明らかにした。
同システムの特徴は、ろ床(ヨシなどを植栽した砂利や砂の層)の上から汚水を散布し、ろ過することで水を浄化すること。目詰まりや凍結を回避するため、好気・嫌気の多段型ろ床を組み合わせたハイブリッド構造を採用するなど浄化効率を高めた。
一般的な機械的汚水処理法と比べ、導入費用は4分の3ほど。運転費用はポンプの電気代などで20分の1に抑えた。さらに設置面積は従来の伏流式人工湿地に比べ、2分の1から5分の1程度とコンパクトにした。
現在、北海道に15か所、東北に4か所、関東と近畿に1か所、ベトナムに2か所の計23か所で導入されている(2016年8月現在)。酪農施設などのほか、国立公園の来場者施設、家畜ふん尿のメタン発酵施設(バイオガスプラント)の発酵液の浄化処理などにも使われている。
今年度中にマニュアルを農研機構のホームページに掲載予定。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日