ダイズ畑の温室効果ガス削減2016年11月1日
農研機構と東北大はこのほど、ダイズ畑の一酸化二窒素(N2O)を窒素ガス(N2)に還元する能力を持つ土着ダイズ根粒菌を使って30%削減できることを野外実験で証明した。
一酸化二窒素はオゾン層の破壊や温暖化の原因物質。一酸化二窒素の人為的発生源は農業で約60%を占める。そこで、農耕地から発生する一酸化二窒素を削減するための技術開発が進められている。
一酸化二窒素の発生源のひとつにダイズ畑がある。さらにダイズは世界的に生産量が増加していて、農耕地全体の6%を占める。
ダイズは根に根粒菌という細菌を共生させ、これが空気中の窒素ガスから生産する窒素化合物を使って生育している。この根粒菌は根粒という組織を形成し、収穫期には老化した根粒が壊れ、中に含まれる窒素化合物が分解され、一酸化二窒素が発生する。
これまで、東北大では根粒菌の中に一酸化二窒素を窒素ガスに還元する酵素を持つ株を発見しており、この酵素を持つ株が共生しているダイズでは、一酸化二窒素の発生量が抑えられることが分かっていた。
今回、農耕地土壌にもともと生息している土着ダイズ根粒菌を使った一酸化二窒素削減技術の開発を行った。
日本各地32か所の農耕地に生息する土着の根粒菌125株から、一酸化二窒素還元酵素をもつ根粒菌63株を分離。63株の混合株をダイズに接種することで収穫期のダイズ畑の一酸化二窒素発生量が約30%s削減することを野外栽培実験で実証した。
一酸化二窒素還元酵素は、一目で見分けることはできない。東北大の研究で、根粒菌の還元能力は、土の種類で大きく異なることが分かっている。全国の畑土壌の約半分を占める黒ボク土ではほとんどが還元能力がない菌であるのに対し、水田に多い灰色低地土ではほとんどが還元能力をもつ菌であることがわかっている。
今後は温室効果ガス削減効果を付与した根粒菌摂取資材の開発に向けて研究を進めていく。
(写真)ダイズの根粒、農研機構提供
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(123) -改正食料・農業・農村基本法(9)-2024年12月21日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (40) 【防除学習帖】第279回2024年12月21日
-
農薬の正しい使い方(13)【今さら聞けない営農情報】第279回2024年12月21日
-
【2024年を振り返る】揺れた国の基 食と農を憂う(2)あってはならぬ 米騒動 JA松本ハイランド組合長 田中均氏2024年12月20日
-
【2025年本紙新年号】石破総理インタビュー 元日に掲載 「どうする? この国の進路」2024年12月20日
-
24年産米 11月相対取引価格 60kg2万3961円 前年同月比+57%2024年12月20日
-
鳥インフルエンザ 鹿児島県で今シーズン国内15例目2024年12月20日
-
【浜矩子が斬る! 日本経済】「稼ぐ力」の本当の意味 「もうける」は後の方2024年12月20日
-
(415)年齢差の認識【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年12月20日
-
11月の消費者物価指数 生鮮食品の高騰続く2024年12月20日
-
鳥インフル 英サフォーク州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年12月20日
-
カレーパン販売個数でギネス世界記録に挑戦 協同組合ネット北海道2024年12月20日
-
【農協時論】農協の責務―組合員の声拾う事業運営をぜひ 元JA富里市常務理事 仲野隆三氏2024年12月20日
-
農林中金がバローホールディングスとポジティブ・インパクト・ファイナンスの契約締結2024年12月20日
-
「全農みんなの子ども料理教室」目黒区で開催 JA全農2024年12月20日
-
国際協同組合年目前 生協コラボInstagramキャンペーン開始 パルシステム神奈川2024年12月20日
-
「防災・災害に関する全国都道府県別意識調査2024」こくみん共済 coop〈全労済〉2024年12月20日
-
もったいないから生まれた「本鶏だし」発売から7か月で販売数2万8000パック突破 エスビー食品2024年12月20日
-
800m離れた場所の温度がわかる 中継機能搭載「ワイヤレス温度計」発売 シンワ測定2024年12月20日
-
「キユーピーパスタソース総選挙」1位は「あえるパスタソース たらこ」2024年12月20日