箱入り贈答用果物に「おすそわけ袋」 農研機構市民講座2016年11月18日
農研機構東北農業研究センターは11月5日に第11回東北農研市民講座「おすそわけはリンゴの販売拡大に効果的」を開いた。おすそわけ袋を使った贈答用リンゴの効果について紹介され、今回はその資料からその利用価値について紹介する。
同センターの生産基盤研究領域の磯島昭代氏が講演を行った。
果樹生産者の取り巻く状況は、輸入果物が低価格の大衆果物として定着し、果物の家計消費は長期的減少傾向にある。しかし贈答用果物での支出は東北・中国・四国で多い。これには、地域の特産果物を地元の消費者が贈答用果物として購入している背景がある。
この現状を踏まえ、高級品市場である贈答用の果物に活路があり、また贈答用で購入される果物は県内でも産出額が高い品目である点が強調された。
◆贈答用リンゴもらい「同じ生産者のものを」
リンゴ生産地の岩手県、盛岡市の消費者行動調査によると、7割近くがリンゴを贈答利用した経験があると答えた。また贈答用リンゴの購入方法は生産者からの直接購入が最も多く、次いで農産物直売所、親戚や家族から、八百屋でなどと続いた。
贈答用としてリンゴを選ぶ理由は「自分の住む地域のリンゴがおいしいと相手に伝えたい」「自分が味を知っている生産者のリンゴを贈りたい」などがあった。
贈られた側が自分のためや贈答用として「同じ生産者から購入したい」という人は55%だった。また贈られた品をおすそわけすると答えた人は95%と多かった。
◆「おすそわけ袋」利用者86%
贈答品を食べてその味や品質を確認した県外消費者が、おすそわけするなど、消費者間の商品の授受には「試食つきクチコミ」の効果がある。そこで農研機構では、顧客拡大と継続販売につなげるため、贈答用の箱入り商品に「おすそわけ袋」を付けることを提案している。
「おすそわけ袋」の例では、持ち手つきで大玉サイズ2~3個、5~6個入るほどのサイズ。生産者の住所や電話番号、ホームページなどの連絡先を記載している他、オリジナルのデザインで消費者に印象付ける取り組みも見られた。
この「おすそわけ袋」の作成費用は最小ロット数8000枚で25万から40万円ほど。デザインの有無や発注する業者、色、袋の材質で値段は変わる。
消費者の「おすそわけ袋」への評価はおおむね良好で、料金が同額なのであれば入っていたほうが良いと答えた。実際におすそわけをしたとき、この袋を使ったという人が86%だった。
同機構は「おすそわけ袋」は生産者だけでなく消費者にとってもメリットのあるツールで、インターネットとの連携でその効果を高めることもできるとしている。またリンゴだけでなく他の果物での取り組みも可能だ。
(写真)おすそわけ袋の例
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