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導入実績4年で12倍に 「うぃずOne研究会」開催2017年2月16日

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JA全農

 「水稲育苗ハウスの空き期間を利用した栽培ができるように」をコンセプトにJA全農が開発した「トロ箱式養液栽培システム」の「うぃずOne」による栽培技術向上などをはかるため、研究会が、2月15日にJAビルで開催された。

「トロ箱式養液栽培システム」の「うぃずOne」 「うぃずOne」は、育苗時期が終了した後の育苗施設の空き期間や遊休ハウスなどを有効活用して、トマトなどを栽培するために、栽培管理が容易で、なおかつ安価な栽培システムをつくることを目的に開発された。
 そのシステムは、発泡スチロール箱の栽培槽を用いた隔離床養液栽培で、他の養液栽培システムと比べて、設置・移動が簡単で導入コストが安価なことが大きな特徴だといえる。
 そのほか、▽設置場所を選ばない、▽規模面積も自由、▽技術仕様が単純、▽自主施工でコスト抑制が可能といった特徴がある。
 システムパッケージ内容は、▽液肥混入機(ミニシステム)と潅水資材、▽発泡スチロール箱(プラスBOX)、▽隔離床栽培用肥料、▽培土、となっている。
 普及促進の初年度である平成25年の導入件数は10カ所・59aだったが、4年目の28年は12月現在で累計で82か所・710aと12倍となっている。導入地域は、秋田県・335a、北海道・78a、山形県40a、石川県38a、広島県36a、宮城県31a、福島県26a、富山県25a、岩手県22aなど、北海道や東日本の水稲中心で施設野菜などの栽培経験が少ない地域が中心となっている。
 栽培作物は、ミニトマトが全体の50%を占め、次いで大玉トマトが35%など、トマトの夏秋栽培が中心となっている。
 28年度の栽培実績報告では、平均反収が大玉トマトで約7tと前年実績より11%増加しており、最大では反収が12tを超えたという報告もある。
 当初は、水稲育苗施設の空き期間の利用と考えられていたが、トロ箱で栽培する利点を活かした土壌病害虫対策として利用するケースや、最近では農業法人等の年間雇用対策など、さまざまな形での利用も増えているという。
 全農では、さらに▽うぃずOneによるトマト栽培技術の向上、▽28年の栽培の振り返りと29年栽培に向けた改善方向の協議、▽参加者相互の情報交換、そしてさらなる普及促進を図るために「平成28年度うぃずOne研究会」を開催した。
 当日は、生産者、地域振興局(普及センター、パートナー設置などを担当する地元業者)、JA担当者など、うぃずOne栽培に関わる関係者約80名が参加した。
 研究会では、うぃずOne栽培マニュアルの更新、トマト栽培ポイントの説明、28年度実績報告などがされ、その後、栽培カルテ(面積、収量、肥料の施用など)にもとづく総合討議がされた。
 総合討議では、うぃずOneによる栽培の特徴をよく把握しながら、給液管理・作業管理・暑さ対策を行っていくことが重要だと確認された。また、設置後のフォロー体制も重要であり、地元振興局・JA・パートナーなどの協力が成功のための大きな要因であることも報告された。
 研究会終了後、参加者からは「トマト栽培の基本がよく分かった」「給液の考え方などが参考になった」「よその生産者の状況を知り、刺激になった」などの声が聞かれた。
 水稲などの農業環境が厳しさを増すなか、複合経営が大きなテーマになってきているが、育苗施設や遊休施設で、比較的簡単にトマトなどの栽培ができるこのうぃずOneへの関心・期待はさらに高まっていくのではないかと感じた。
上住次長研究かい

(写真)トマトを中心に広がる"うぃずOne"の活用、挨拶するJA全農生産資材部住吉弘匡次長、熱心に意見交換する参加者

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