鳥獣対策で小諸市などに大賞2017年2月28日
平成28年度鳥獣被害対策優良活動表彰
第4回全国鳥獣被害対策サミット
農水省は2月28日、同省舎で、「平成28年度鳥獣被害対策優良活動表彰」の表彰式を開催。その後、合同会社まかく堂主催の「第4回全国鳥獣被害対策サミット」が行われ、約300人が出席した。
礒崎陽輔農林水産副大臣はあいさつで鳥獣害による農作物の被害が甚大であることを訴え、「農産漁村を美しく活力あるものとしていくために、鳥獣被害に負けない地域づくりが重要」だと話した。
「平成28年度鳥獣被害対策優良活動表彰」の受賞者は既報の通り。なお、今表彰では、捕獲した鳥獣を食品として利用する「捕獲鳥獣利活用部門」の表彰が新たに設けられた。
◆小諸市 猟友会と信頼関係構築
全国鳥獣被害対策サミットで、受賞者の取り組み事例発表も実施された。
農林水産大臣賞(被害防止部門(団体))を受賞した長野県の小諸市では、限られた予算の中で、長期的で費用対効果のある対策を練るため、平成23年度に鳥獣の生態などの知識を持つ野生鳥獣専門員(1名)を採用。25年度には正職員として雇用した。
捕獲については猟友会が請け負うが、会員は減少傾向にある。そのため、市の若手職員に免許取得などを促した。大型鳥獣は猟友会、ハクビシンなど小・中型の鳥獣は市の職員というすみわけを行いながら、猟友会との信頼関係を構築。
28年末には実施隊のメンバーの環境を改善し、捕獲頭数の増加、農作物被害額の減少につながった。
しかし、財源は猟友会への経費や捕獲したあとの処理などでひっ迫。捕獲したシカ肉を商品化し、ペットフードとして販売することにした。一般的なペットフードより高額となるが、(1)捕獲鳥獣の個体管理、(2)処理施設の衛生管理、(3)シカ肉の栄養性などをPR、(4)売上金を環境保全や鳥獣害対策に使うこと、という付加価値をつけた。
今後は近隣市町村から捕獲鳥獣を小諸市の処理施設へ受け入れたり、シカ皮などを商品化して小諸市のブランド商品として販売したりしていくという。
◆くまもとジビエ研究会 コーディネーターが重要
農林水産大臣賞(捕獲鳥獣利活用部門(団体))を受賞した、熊本県のくまもとジビエ研究会は、平成24年度に設立された。県内で捕獲されたイノシシやシカ肉を地域資源として活用するため、県内の処理加工施設、飲食店、捕獲従事者、行政など、現在60団体で構成されている。
シカ肉が取れない福岡県で商談会を開催したり、くまもとジビエ料理フェアを開いたりして、ジビエの認知度を向上させた。また県内唯一の調理師専門学校で、全国初のジビエ授業を、正式なカリキュラムとして行った。
フェアでは、客に「おいしいジビエ料理がありますよ」と声かけができるよう、店のホールスタッフにジビエの魅力を伝えたことが効果的だったとした。
(1)直接的な利益を得ないコーディネーター、(2)県内の流通卸(ジビエ肉が入ってこないとレストランでも使えない)、(3)既存の飲食店グループを母体とすることなどが大切だと訴えた。
当日は捕獲檻やワナ、電気柵などのブース展示、小セミナーなども行われた。
(写真左から)挨拶する礒崎農林水産副大臣、受賞者ら、事例発表
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