50年後13~29%増収 CO2モデルでコメの収量予測-農研機構2017年12月11日
農研機構は、二酸化炭素(CO2)の濃度上昇によるコメの収量への影響について、予測モデルを用いて精度よく収量予測できる見通しを明らかにした。今後、モデルの精度向上によって、より適切な気候変動対策、ひいては将来のコメの安定生産に貢献できるものと期待される。12月7日発表した。
気候変動によるCO2濃度の上昇は、植物の光合成速度を高めて増収に働くと考えられている。コメについては世界各地でCO2濃度上昇を考慮したモデルで収量予測が行われているが、予測モデル間の比較や統一基準での予測精度の評価は行われていない。
農研機構は世界9か国の18機関と協力し、世界各地で開発された16種類の米収量予測モデルについて、予測精度の比較・評価を行った。各モデルを用いて約50年後を想定した「高CO2濃度条件下(現在の約1.5倍)での収量予測を行い、得られた予測値を日本と中国で行われた野外実験、およびアメリカでの人工気象下と比べ、野外で13%、人工気象で29%の増収となった。
個々の予測モデル間には大きくばらつきがあるものの、全モデルの予測値の平均値は実測値とよく一致していた。「複数の予測モデルを用いることで、コメの収量への影響を精度よく予測できることが分かった」と同機構は言う。この成果は11月1日に英国科学雑誌「Scientific Reports」電子版に掲載された。
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