キクの効率的なDNAマーカー開発技術 農研機構×かずさDNA研究所2020年2月13日
農研機構とかずさDNA研究所は、同質六倍体であるためにDNAマーカー開発が困難だった栽培ギクにおいて、効率的にDNAマーカーを開発する手法を確立した。6セットのゲノムのうち、1セットのゲノムにのみ存在する配列の違いをDNAマーカー化することで、有用な性質と関連するDNAマーカーを効率的に開発できる。
この手法により、キクのDNAマーカー開発が進み、効率的な品種開発が可能になる。
(図1)同研究で解析に用いた同質六倍体キク品種「イエロークイン」
およびキク近縁野生種で二倍体のキクタニギク
キクは日本で最も多く生産・消費される花き。日本の切り花生産本数の約3分の1を占めるが、近年は、キクの国内市場流通に占める輸入品のシェアが増大し、国内の増産が求められており、生産性が高く、病害虫に強いキク品種の開発が急務となっている。
ほとんどの植物のゲノムは2セットだが、キクはゲノムを6セット持つ(図1)同質六倍体で、ゲノム構造と遺伝様式が複雑。ゲノム情報を用いた効率的な品種改良のツールとなる、DNAマーカーの開発が困難だったが、今回、農研機構とかずさDNA研究所は、効率的にキクのDNAマーカーを開発する手法を確立した。
同手法では、以下の方法でDNAマーカーを開発する(図2)。
1.キクの近縁野生種で二倍体の「キクタニギク」のゲノム配列と、キクのゲノム配列を比較し、キクの6セットのゲノムのうち1セットだけに配列の違い(多型)がある部分を探索
2.見つけた多型の中から、関連解析により有用な性質と相関のある部分を選抜し、DNAマーカーを開発
(図2)キクにおける効率的DNA マーカー開発手法の概要
同手法はキクの品種開発に関連する機関でのマーカー開発の際に活用が見込まれる。今後は、DNAマーカーを使うことにより、形質による選抜に要する時間と手間の軽減、複数の有用形質を導入する時間と手間の軽減など、ゲノム情報を活用したキクの効率的な品種開発が可能となる。
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