ビール酵母細胞壁由来の肥料をぶどう栽培に活用ーアサヒバイオサイクル2020年6月12日
アサヒバイオサイクル(株)は、同社グループのワイン製造会社であるサントネージュワイン(株)と連携し、グループ独自技術でビール製造工程で発生する副産物「ビール酵母細胞壁」由来の農業資材(肥料)をぶどう栽培に活用している。2018年から北海道・山梨県・山形県で運用を始め、2019年の収穫時には一部畑で収穫量が増加したり、収穫したぶどうの良品率が向上するなどの効果が確認できた。
2018年9月(左)は一房あたりの粒数が少なかったが、
2019年8月(右)は粒張りがよく房数も多かった
同資材を散布した畑で収穫したぶどうは、アサヒビール(株)が販売するワイン「サントネージュ」の原料として使用。人気が高まっている日本ワイン生産において、収穫量アップへの貢献や環境に優しいワイン作りの一助となることを目指し、今後も同資材の活用拡大を進めていく考え。
サントネージュワイン契約畑で山形県上山市にある渡辺畑では、園主世代交代の際に独自の栽培ノウハウが完全に伝授されず、近年はぶどうの生育不良と収量減が課題となっていた。
同畑は元来やせた土壌であるため、根が十分に発達しにくい環境であったことから、発根を促し樹勢を回復させるため同資材を散布し土壌改良を行ったところ、2019年の収穫量が前年に比べ約1.5倍増えた。
サントネージュワイン自社畑がある山梨県山梨市の牧丘倉科畑では、同資材を散布し土壌改良を行ったことで、ぶどうの木の免疫力が高まり病気への耐性が強化された。白ぶどう品種・シャルドネの病害が減り、2019年は前年と比べ腐敗果の廃棄量が6分の1に減少し、過去最高の収穫量となった。
赤ワイン用ぶどう品種・カベルネ・ソーヴィニヨンは着色が向上。畑の土の質感が、これまで乾燥すると砂のようなざらついた感じだったが、やわらかくこんもりした質感になり、根がしっかり根付くようになったという。
このほか、北海道余市町に取得した自社畑(6ha)でも同資材を使用しており、2023年のファーストヴィンテージに向け準備を整えている。
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