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ロボット農機や5G関連技術で圃場間自動走行と遠隔監視制御を実現 NTTドコモなど2020年11月17日

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北海道大学、岩見沢市、NTT、NTT東日本、NTTドコモは、最先端のロボット農業技術に、第5世代移動通信方式(5G)と、革新的ネットワーク技術IOWNを実現する技術の一つである複数ネットワークの最適な活用技術や、高精度な測位技術等を用いた農機の完全自動走行に向け、通信や映像の途切れを防止するなど、安定的で円滑な農機のほ場間自動走行と遠隔監視制御を実現した。

ロボット農機や5G関連技術で圃場間自動走行と遠隔監視制御を実現 NTTドコモなど実証全体概要図

四者は、2019年6月28日に産官学連携協定を締結し、最先端の農業ロボット技術と情報通信技術の活用による世界トップレベルのスマート農業およびサステイナブルなスマートアグリシティの実現に向けた研究、技術開発等を進めてきた。

これまで、農機からの高精細映像や監視センタからの発進・停止等の制御信号の安定的な伝送をめざし、5G等の高速・大容量・低遅延のネットワークを活用して実証を進めてきたが、農機完全自動走行対応には、ほ場間での移動も含め、遠隔地からトラクタやコンバイン等の農機をモニター等で監視、制御することが必要となる。

例えば、対象の農地が5Gのサービスエリア外であったり、その無線通信の特性上、遮蔽等の影響を受けて自動運転農機が必要な通信品質を得られなかった場合、遠隔地にある監視センターへ送信する監視映像が乱れたり、途切れたりして遠隔監視の実施が難しいなどの課題がある。その解決策として、複数のネットワークを安定的に切り替えるなどの対策が有効となる。今回の実証では、以下5つの技術を実現し、その有効性を確認した。

(A)IOWNを実現する技術の一つとなる協調型インフラ基盤技術(マルチ無線品質予測技術(Cradio)、E2Eオーバレイネットワーク技術)を用いて、複数のネットワークを跨って農機が自動走行する中、通信品質の変動をAIが予測。通信の品質が劣化する前に適切なネットワークに自動で切り替えることで、遠隔監視を中断させること無く、安定的な自動走行を実現した。これらの技術は、アプリケーションに利用ネットワークを意識させない、ナチュラルな利用を可能とする、将来の移動固定融合サービスにつながる技術の1つとしても位置づけられる。

(B)ネットワーク協調デバイス制御技術を用いて、ネットワークの品質変化に応じた農機の制御指示を実現。監視映像が伝送できないレベルにネットワーク品質が劣化した際に、自動でトラクタを安全に停止させるなど、その有効性を確認した。

(C)監視拠点で映像をパケットレベルで低遅延に複製することでネットワーク負荷を低減しながら、遠隔監視と画像解析などの複数の用途でのリアルタイム映像の同時利用を可能とするデータストリームアシスト技術を効率化。また、深層学習では、サーバ収容率を高めるために、複数の映像ストリームを効率的に処理するストリームマージ機能やCPUやGPUなど様々なリソースを最適化する推論処理基盤技術により、処理を効率化した。これらの機能により監視者の負担軽減につながる効率的な遠隔監視を実現し、その有効性を確認した。
また、農機が自動走行するためには、高精度な測位が必要。そのため、衛星信号を受信する固定局を農機の周辺環境に設置し、固定局から位置補正情報を配信することが求められる。従来は、農家が当該固定局を設置することから、費用面や運用面で農家の負担となる等の課題があった。

(D)農家による固定局の設置が不要となる、「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス」を用いた農機自動走行を実証。高精度の測位を実現し、有効性を確認した。これにより、低コストで高精度な測位情報の利用が可能となる。

(E)IOWNを実現する技術の一つであるクラウドGNSS測位技術を用いた農機の自動走行の実証。農機に搭載した受信機で受信されたGNSS信号と固定局からの位置補正情報を使用して、クラウド上で測位演算処理を行い、リアルタイムの測位結果を農機の自動走行の制御に使用することで、その有効性を確認した。
クラウド上で測位の演算処理を行うことで、農機のみならず、PCやタブレット等の機器でも同時に位置情報の利用が可能になる。また、樹木などの障害物が圃場周辺にある環境下で、利用にふさわしくない衛星信号を測位処理に利用して測位精度が劣化する課題に対しても、クラウド上の潤沢な計算リソースを使い、適切な衛星信号を選択することで高精度な測位を実現することが可能となる。

今後は、農機自動走行の安全性をさらに高めるため、衛星信号を用いた測位可能なエリア圏外でも農機自動走行を可能にする路面画像認識による測位補完技術の実証も行う。また、ドローンや草刈・収穫ロボット等農機以外への遠隔監視制御対象の拡大や5Gや現行光ネットワークよりもさらに高速・大容量・低遅延なIOWN関連技術の導入を通じた、より多数の農機の遠隔監視制御、より広域での農業の自動化をめざす。

さらに、農業の生産分野にとどまらず、流通・販売・消費分野にまたがるフードバリューチェーンへと取り組みを拡大。そこで構築した通信インフラを防災や健康等他分野での活用に広げる等、スマート農業を軸とした、生活に必要なさまざまなサービスのスマート化へとつながるスマートアグリシティの実現をめざす。

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