再び降雪予報で警戒を 石川県が被害拡大防止を呼びかけ2021年1月15日
石川県農林総合研究センターは1月7日~10日かけての暴風雪・大雪で、各地で農業施設等に被害が確認され、現在も施設周辺やほ場に積雪が多く残っていることから、暴風雪・大雪に伴う被害拡大防止対策を1月12日に発表した。
気象庁週間予報によると、1月17日頃以降、再び降雪となる可能性が高く同県では、今後の被害を最小限に留めるため次の防止対策を徹底を促している。
(1)除雪作業は複数人で行うなど、作業時の安全確保を最優先し事故防止に努める。
(2)パイプハウス(水稲育苗用パイプハウス、園芸用パイプハウス)
〇気温の上昇や降雨などで雪が融け始めると重みが増し、倒壊の恐れがあるため、ハウスの屋根やハウスとハウスの間(ハウスサイド)に溜まっている雪はできるだけ速やかに除雪しておく。ハウスの肩部まで堆積しないように、融雪用に散水パイプを設置するか、かん水チューブを堆積した雪の上に設置し、融雪を促す。すでに肩部付近まで積もり除雪が間に合わない場合は、ビニールを切ってハウスの倒壊を防止する。ビニール切断時は、下敷きにならないよう、細心の注意を払い左右対称に切っていく。(園芸施設共済に加入している場合は、切断前に農業共済組合に確認する)
〇ハウス内に作物が無い場合は、必ずビニールを外しておく。ビニールを外したハウスでも、骨組みパイプ等に雪が積もっていると倒壊の恐れがあるため、雪を落としておく。
〇ハウスを補強する場合は筋交い、中柱等を設置する。その際、ハウスが降雪後にねじれないように補強は左右対称とする。ただし、すでに降雪があり倒壊の恐れがある場合は、安全のため作業は行わない。
〇ハウスの隣棟間隔が狭いとき(間口の1/2以下)は、1棟おきにビニールを外し、雪の堆積場とする。
〇ビニールの破損等は速やかに補修するとともに、できるだけ屋根雪を滑落させ、天井に雪を乗せたままにしない。屋根雪はハウス内温度を4℃以上にするとほとんどの場合滑落するが、滑落しない場合は手作業で強制的に滑落させる。
〇日差しで急激に温度が上昇するため、ハウスサイドの換気ができるよう、ハウス側面を早急に除雪する。
〇雪解け水がハウス内で停滞しないよう排水溝を確保し、速やかな排水を促す。
(3)麦類
〇排水溝の点検:融雪後にほ場巡回を実施し、地表面の排水が速やかに行われているか排水溝の点検を行い、必要があれば排水溝の手直しや追加を行う。
(4)野菜・花き:〈施設の野菜・花き〉
〇収穫期を迎えている品目(コマツナ、フリージア等)は被害にあったものを除き、速やかに収穫・出荷する。
〇生育初期で被害にあった場合(コマツナ等)は、ビニールハウスの補修を行った上で播き直す。
〇育苗中の品目(トマト、ネギ等)は、各ステージでの適温管理に努めるとともに、過湿による病害発生を防ぐため、晴天時にはトンネルを換気し湿度の低下に努める。
〇ハウス被害があり、葉や茎が折れたフリージアは、切り花生産から次年度の球根養成に切り替え、保温資材を被覆する。
〈露地の野菜・花き〉
できるだけ早期に融雪するため、くん炭等の融雪資材を散布するとともに、雪解け水が停滞しないよう排水溝を確保し、速やかな排水を促す。
(5)果樹:〈樹体被害〉
〇冠雪が50cmを越えると枝折れや枝裂け等の被害が出やすいため、降雪量を見ながら着雪の払い落としを行う。
〇枝の皮部の1/2~1/3が完全に繋がっている場合、速やかに回復措置を実施する。
〇主枝裂開部はナイフで削り取りボルト締め、またはカスガイ打ちし、傷口に水が入らないよう接合部に殺菌塗布剤を塗布して癒合を図る。癒合するまでは支柱などで支持補強する。
〇枝の欠損部は傷口を平らに削った後、殺菌塗布剤を塗って枯れ込みを防ぐ。
〇裂開した枝では、側枝や結果枝の数を減らして着果負担を軽くする。
〈果樹棚等の施設〉
〇ドカ雪の場合はナシ、ブドウ等は棚上の積雪状況に注意し、必要に応じて早急に雪降ろしを実施する。
〇激しい降雪で果樹棚が完全に埋没し倒壊の恐れがある場合は、周囲線を掘り起こし、周囲柱の外側の積雪を踏み込む。さらに幹線、または小張線を切断し、枝を雪面上に引き上げることで果樹棚の倒壊を防ぐ。
(6)畜産・飼料作物
〇畜舎等の施設点検を行い、老朽化等で倒壊の恐れがある場合は必要に応じて補強等を行うとともに、屋根の雪下ろしを適切に実施する。
〇畜舎の周囲等農場内の除雪を適切に行う。特に肉牛、肉豚、生乳、鶏卵等の家畜・畜産物の集出荷や飼料等の運搬車両の通路を確保するため、可能な限り農場内の道路の除雪に努める。
〇子畜や老畜・病畜は観察の強化に努め、体温維持のため飼料の増給や保温対策を行う。
〇イタリアンライグラスは、雪害・雪腐病の被害が出やすいため、可能な限り停滞水の早期排水に努める。
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