カリ施用不要で水稲コスト削減へ 農研機構2021年1月18日
農研機構は1月14日、水稲作でカリ施肥量を半減またはゼロに抑制するための条件を明らかにし、施肥指針マニュアル「水田土壌のカリ収支を踏まえた水稲のカリ適正施用指針」にまとめ公開した。この成果は、国内の水田に広く適用できるため、水稲作の肥料コスト低減に期待できるとしている。
肥料の3要素の一つであるカリは、全量を輸入に依存しており、国際価格は高値基調にある。水稲作では通常10aあたり8~11kg程度のカリを施肥するが、無施肥の水田でも稲が問題なく生育することも多いことから、カリを適正に減肥するための指針の策定が望まれていた。
農研機構は農水省の委託プロジェクト研究で山形、新潟、三重、宮崎、鹿児島の5県と連携し、カリ施肥量を減らした水田での稲の生育とカリ収支(水田への出入り量)を調査。この実証成果から策定した施肥指針では、植物が吸収できる交換態カリ(土壌中に保持されているカリ)が土壌100gあたり20mg以上を満たす水田であれば、稲わらの還元で施用量を半減でき、収量と土壌のカリ収支もマイナスにならないと指摘。さらに、この条件の水田に、牛糞堆肥を10aあたり1t以上を施用することで、その年のカリ施肥量をゼロにできる。
この指針を適用した土質は、全国の水田面積の約7割を占める低地土(沖積堆積物(川などが運んだ母材)からなる土壌)を想定。肥料コストの削減効果はカリ肥料を10aあたり3kg減らした場合、1056円の肥料コストの低減が見込めるとしている。なお、放射性セシウム対策など、カリの施用が求められる状況にある水田は同指針の適用外となる。
カリ減肥可能性判定のフローチャート
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日