収穫の3~6か月前に把握 全世界対象の穀物収量予測が本格運用へ前進 農研機構2021年8月20日
農研機構は、APEC気候センター(APCC)と共同で開発した、トウモロコシ、コムギ、コメ、ダイズの全世界を対象とした収量予測手法による収量予測情報を、各国の食糧機関などに提供するサービスの試験運用として、米国と欧州12か国を対象に2019年産収量の予測精度を検証した。
同サービスによる予測概略
同サービスは、米国農務省(USDA)や欧州委員会共同研究センター(JRCによる収量予測に比べ、やや精度が低いが、既存の予測が公表される16か月前(収穫の3~6か月前)に収量の概況が把握できることが示された。これらの結果を踏まえ、2023年までにWEBページでの収量予測情報の提供を始める。
食料のサプライチェーンのグローバル化と気候変動に伴う極端気象の増加により、食料生産を世界規模で予測することがますます重要になっている。収量予測は国や地域ごとに行われることが多く、全世界を対象とした予測はほとんど例がない。多くの国では食料の輸入割合が増加しており、自国の生産状況の把握に加え、主要輸出国・輸入国の生産動向を予測する必要性が高まっている。
こうしたニーズに応えるため、農研機構はAPEC気候センターと共同で、主要穀物について全世界を対象とした収量予測の手法を開発。2019年6月から各国の食糧機関などに収量予測情報を毎月提供するサービスを試験運用してきた。今回、米国と欧州12か国の2019年産の作物収量について、収量実績との比較から、同サービスが提供する収量予測の精度を検証。さらに、米国農務省(USDA)と欧州委員会共同研究センター(JRC)による収量予測との対比も行った。
その結果、同サービスの収量予測は、USDAやJRCによる自国や特定地域を対象とした精緻な調査に基づく既存の予測が公表されるより16か月早い、収穫の36か月前に収量の概況を把握できることが示された。
同サービスは公益性が高いことから、2023年までに収量予測情報をWEBページで毎月公開する予定。全世界を対象とした収量予測情報を公表するサービスは世界初の試みとなる。食糧機関や輸入穀物を原材料として使用する食品関連企業などは既存の予測情報が利用できる時期よりも早く、また、既存の予測と併用することでより幅広い時期にわたって収量を予測できるようになる。
客観的な予測情報の公表することで、国際市場における食料の投機的な価格高騰をある程度抑える効果や、気候変動に伴う異常天候がもたらす食料生産ショックへのAPEC加盟国の対応をサポートするなど公的な役割も期待される。
収量予測精度の評価結果は米国気象学会誌「WeatherandForecasting」に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日