カイコ遺伝子発現データ公開 昆虫活用技術開発やデータ駆動型研究促進へ 農研機構2021年10月1日
農研機構は、シルクタンパク質産生に重要な時期のカイコ幼虫に、どのような遺伝子が生体内のどこでどの程度働いているかがわかるデータを作成し、公開した。同成果は、カイコの高いタンパク質合成能力をさらに引き出し、有用タンパク質の生産にカイコを活用する道を拓くと期待される。
発現データの取得
カイコは、絹糸を生産する家畜化された昆虫。農研機構は、絹糸の構成成分となる2種類のタンパク質(フィブロインとセリシン)が合成される器官(絹糸腺)で他の生物が持つ遺伝子を働かせ、有用タンパク質をカイコに作らせる技術を以前に開発。これまでに動物医薬品の原薬の生産などに利用されており、現在は、この技術を改良し有用タンパク質の生産量を上げることでより広汎なタンパク質の産生に利用できるよう研究を進めている。
有用タンパク質の産生効率向上には個々の遺伝子機能だけでなく、特定条件下での遺伝子発現の変化を網羅的に捉えた遺伝子発現データが重要になる。そこでシルクタンパク質産生に重要な時期のカイコ幼虫における網羅的遺伝子発現データを取得した。さらに、ヒトやショウジョウバエの遺伝子情報との対応づけを行うことで、これらのデータベースにある膨大な遺伝子情報の利用を可能にした。
得られたデータはカイコの一生で特に多様で重要な生命活動が起きる時期に得たもので、カイコにおける有用タンパク質産生の研究だけでなく、カイコや他の生物種の基礎から応用までの様々なフェーズの研究を促進することが期待される。今回、得られたデータは、農研機構が公開しているカイコゲノムデータベース・KAIKObase(カイコベース)で公開する。
今後は、この網羅的遺伝子発現データを用いたデータ駆動型研究を行い、個々の遺伝子の関連性を解明し、有用タンパク質の生産を制御する遺伝子群を同定。カイコによる、動物やヒト用の医薬品原薬などの有用タンパク質の産生能力を向上させ、同技術の普及をめざす。
研究成果の活用
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