チャトゲコナジラミの成幼虫 本島中北部で発生 沖縄県2021年10月7日
沖縄県病害虫防除技術センターは、チャトゲコナジラミの発生を沖縄本島中北部で確認。これを受け、10月5日に病害虫発生予察特殊第1号を発令した。
2017年3月に名護市のチャ園で、チャトゲコナジラミと思われる成幼虫がみられ、採集した成幼虫を農林水産省那覇植物防疫事務所に同定依頼した結果、県内未発生のチャトゲコナジラミであると確認された。発生状況について、沖縄県農業研究センター名護支所による黄色粘着板トラップ調査において、5月17日~25日に国頭村、大宜味村、名護市、うるま市のほ場で成虫が捕獲された。9月8日、9月28 日に県内の主産地で見取り調査をしたところ、名護市のほ場で発生程度は極めて低いが、成幼虫が確認された。
新芽に集合する成虫(写真提供:沖縄県植物防疫協会 安田慶次氏)
同種は、ツバキ科のチャ、ツバキ、サザンカのほか、モッコク科のヒサカキ、サカキ、マツブサ科のシキミなどに寄生。チャでは成幼虫とも葉裏に寄生し、成虫は新芽、幼虫はすそ葉裏に寄生する。被害は、成幼虫による吸汁と幼虫が排泄する甘露に誘発されるすす病によるチャ樹の生育阻害がある。さらに、チャ新芽の生育期にはおびただしい数の成虫が発生し、ほ場内を飛び回るため、摘採作業中に成虫が作業者の目や口、鼻に飛び込み、作業に支障をきたすことがある。
成虫の体長は、1.1~1.3ミリで、前翅は紫褐色で不整形の白斑があり、白粉で覆われ、幼虫は、主に下位葉の葉裏に寄生する。扁平な紡錘型で光沢のある黒色周囲にリング状の白いロウ物質を纏い、周囲体側にトゲ(樹枝)状突起を有している。ふ化直後は歩行移動するが、定着後は移動しない。4齢幼虫を経て成虫となる。
本土では年間3~4 世代発生し、主に3齢および4齢幼虫で越冬した個体が、翌春に成虫になるが、沖縄県における発生生態は不明。
同センターでは次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇幼虫は下位葉の葉裏に多く生息し、成虫は新芽によく集まるので、定期的にこれらの部分の葉裏を観察し、発生が確認された園では速やかに薬剤防除を実施する。
〇成虫は、他のコナジラミ類と同様に黄色に誘引されるため、発生園および周辺地域に黄色粘着トラップを設置し、その発生状況を把握する。
〇薬剤散布は、寄生の多い下位葉の葉裏に十分にかかるように丁寧に行う。薬剤をかかりやすくするため、散布前に深刈せん枝やすそ刈り等を行うとともに、寄生葉は土中に
埋めるなど適切に処分する。
〇発生地域からの苗木、生葉、作業機械及び人等の移動による本種の拡散に注意する。特に、改植園については定植時に防除を徹底する。
幼虫の排泄物に発生するすす病(写真提供:沖縄県植物防疫協会 安田慶次氏)
重要な記事
最新の記事
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(2)DX戦略にも地域色拡充2024年7月17日
-
【東京農業大学鼎談】実学主義の価値(3)JAは食・農の好循環先導を2024年7月17日
-
【訃報】生活クラブ生協連の加藤好一顧問が逝去2024年7月17日
-
【人事異動】農水省(7月16日付)2024年7月17日
-
【注意報】ナシ、ブドウなどに果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 三重県2024年7月17日
-
ガチャピン・ムックとコラボ「ニッポンエール」グミ発売 JA全農2024年7月17日
-
日本農業の未来をけん引する人材育成へ 宮城県加美農業高校とNTT東日本グループが連携2024年7月17日
-
【注意報】大型斑点米カメムシ類、カスミカメムシ類による斑点米発生に注意 千葉県2024年7月17日
-
【注意報】水稲に斑点米カメムシ類 県下全域で多発のおそれ 岩手県2024年7月17日
-
「第3回 全国桃選手権」開催 全国から45品がエントリー 日本野菜ソムリエ協会2024年7月17日
-
ハウス栽培向け環境制御システムのラインアップを拡充 クボタ2024年7月17日
-
生とうもろこしまるかじり 昭和村で農業体験開催 パルシステム群馬2024年7月17日
-
過去最大級60ブース出展「北海道新規就農フェア」8月3日に開催2024年7月17日
-
温室効果ガスを排出しないコンパクトな水素燃料電池発電システムを商品化 ヤンマーES2024年7月17日
-
さいたま市内の飲食店で「まんてん会津夏野菜フェア」開催2024年7月17日
-
AI活用畜産DX 肥育牛対象の耳標型「イヤタグセンサー」提供開始 デザミス2024年7月17日
-
「第8回高校生科学教育大賞」最優秀賞は京都府立桂高校 バイテク情報普及会2024年7月17日
-
「広島県産はっさく&レモンサワー」23日にリニューアル発売 JA全農2024年7月17日
-
「長野県産スイカフェア」開催 銀座の直営飲食店舗で18日から JA全農2024年7月17日
-
福岡JAトップ座談会「若い世代に魅力ある農業を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】2024年7月16日