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栽培化歴のある雑草「ヤハズエンドウ」のゲノム多様性を評価 かずさDNA研究所2021年10月22日

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かずさDNA研究所は東京大学、国立遺伝学研究所と共同で、全国12地点から採取した1243個体のヤハズエンドウ(別名カラスノエンドウ)のゲノムを比較し、その遺伝的多様性を評価した。農作物として重要な形質に関わる遺伝子以外のゲノム領域に、野生の原種が持つ多様性を導入することで、除草・防虫・消毒といった農作業コストや環境への負荷を低減させた農業の実現が期待される。

農業生産に適した遺伝子を固定した集団が作成できれば、高い生産性の作物開発につながる農業生産に適した遺伝子を固定した集団が作成できれば、高い生産性の作物開発につながる

農作物を育てるには、雑草を排除し病害や虫害を農薬などで防がなくてはならない。農作物が雑草より弱いのは、栽培化の過程で遺伝的多様性を失ったことが原因のひとつと考えられる。

ヤハズエンドウ(Viciasativa)は、一般にカラスノエンドウとも呼ばれ、春に赤紫のかわいい花をさかせて沢山の豆をつける。豆のさやで草笛を作って遊ぶことで親しまれている。北海道以外の日本のどこでも見られる雑草だが、地中海沿岸原産でかつては牧草としてある程度栽培化が進んでいたという歴史がある。かつて農作物として栽培化された雑草のヤハズエンドウは、どの程度の多様性があれば野生で生き延びられるかを知る手がかりとして注目される。

研究では、かずさDNA研究所が立地する千葉県木更津市に生えていたヤハズエンドウを、三世代自家受粉を繰り返して遺伝的均一性を高めた個体のゲノムを解読。15億塩基対のDNA配列上に3万1146個の遺伝子を見出した。これを参照配列として、日本全国12地点から採取した各地点100個体前後、全体として1243個体のゲノム配列を比較しての遺伝的多様性を評価。それぞれの採取地点で生存している集団は、それぞれ限られた数の祖先に由来しており、2地点の集団は他の10集団とは遠縁であることが分かった。

ゲノム全体にわたって遺伝的多様性が見られたなかで、開花時期に関する遺伝子セットは多様性が縮小。この結果は、一部の遺伝子セットで多様性がなくてもゲノム全体で遺伝的多様性があれば雑草のたくましさは保たれることを示している。今回の結果は、農作物として重要な形質に関わる遺伝子以外のゲノム領域に、野生の原種が持つ多様性を導入することで、除草・防虫・消毒など農作業コストや環境への負荷を低減させた農業の実現を期待させる。

研究成果は国際学術雑誌「PlantDirect」のオンラインで10月7日に公開された。

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