メスジカを捕らえる分布域を特定 駆除へ効率的な個体群管理に期待 森林総合研究所2021年11月12日
森林総合研究所の研究で、ニホンジカの性比は分布の周辺部と中央部で異なることがわかった。シカの個体群管理には、子を生むメスを駆除して次世代を減らすことが有効であることから、メスが多い地域の特定は効率的な個体群管理に役立つことが期待される。
左図は熊本県で捕獲されたシカの角なし割合が5割以上の地域(緑)と5割未満の地域(青)。
右図はシカの生息密度指標が1以上の地域(緑)と1未満の地域(青)。各メッシュは約5km四方
同研究所は、熊本県が収集しているニホンジカの捕獲個体情報を解析し、角を持たないシカ(角なし:成獣メスと子)と角を持つシカ(角あり:成獣オス)の比率が県内でも地域によって異なることを明らかにした。さらに、同県が収集しているシカの生息密度情報を基に地域ごとのシカの生息密度指標を算出。角あり、角なしのシカの比率と比較したところ、生息密度指標が3程度に達するまでは、生息密度指標が高い地域ほど角なしシカの割合が高いことがわかった。
生息数増加と分布拡大に伴い日本各地でシカによる農林業被害が深刻化しており、効率的、効果的な個体群管理手法の確立は喫緊の課題となっている。角なしシカのほとんどを占めるメスの捕獲と駆除はその有効な手段と指摘されてきたが、メスを選択的に捕獲することはこれまで難しかった。
同研究の結果は、生息密度が高い地域で捕獲圧を高めることによってメス捕獲を促進できる可能性を示すもので、個体群管理手法の進展に役立つと考えられる。
同研究成果は、10月13日にJournalofForestryResearch誌でオンライン公開された。
シカの分布と性別ごとの個体数の模式図。
分布の中心に近いほどオスよりもメスが多く、分布の端ではその逆になることが推察される
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(139)-改正食料・農業・農村基本法(25)-2025年4月26日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(56)【防除学習帖】第295回2025年4月26日
-
農薬の正しい使い方(29)【今さら聞けない営農情報】第295回2025年4月26日
-
1人当たり精米消費、3月は微減 家庭内消費堅調も「中食」減少 米穀機構2025年4月25日
-
【JA人事】JAサロマ(北海道)櫛部文治組合長を再任(4月18日)2025年4月25日
-
静岡県菊川市でビオトープ「クミカ レフュジア菊川」の落成式開く 里山再生で希少動植物の"待避地"へ クミアイ化学工業2025年4月25日
-
25年産コシヒカリ 概算金で最低保証「2.2万円」 JA福井県2025年4月25日
-
(432)認証制度のとらえ方【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年4月25日
-
【'25新組合長に聞く】JA新ひたち野(茨城) 矢口博之氏(4/19就任) 「小美玉の恵み」ブランドに2025年4月25日
-
水稲栽培で鶏ふん堆肥を有効活用 4年前を迎えた広島大学との共同研究 JA全農ひろしま2025年4月25日
-
長野県産食材にこだわった焼肉店「和牛焼肉信州そだち」新規オープン JA全農2025年4月25日
-
【JA人事】JA中札内村(北海道)島次良己組合長を再任(4月10日)2025年4月25日
-
【JA人事】JA摩周湖(北海道)川口覚組合長を再任(4月24日)2025年4月25日
-
第41回「JA共済マルシェ」を開催 全国各地の旬の農産物・加工品が大集合、「農福連携」応援も JA共済連2025年4月25日
-
【JA人事】JAようてい(北海道)金子辰四郎組合長を新任(4月11日)2025年4月25日
-
宇城市の子どもたちへ地元農産物を贈呈 JA熊本うき園芸部会が学校給食に提供2025年4月25日
-
静岡の茶産業拡大へ 抹茶栽培農地における営農型太陽光発電所を共同開発 JA三井リース2025年4月25日
-
静岡・三島で町ぐるみの「きのこマルシェ」長谷川きのこ園で開催 JAふじ伊豆2025年4月25日
-
システム障害が暫定復旧 農林中金2025年4月25日
-
神奈川県のスタートアップAgnaviへ出資 AgVenture Lab2025年4月25日