養分欠乏下で高い生産性 イネの新品種「FyVary」マダガスカルで登録 国際農研2021年11月29日
国際農研は、マダガスカル国立農村開発応用研究センター(FOFIFA)と国際稲研究所(IRRI)と共同で、新たな水稲品種を開発。11月4日にマダガスカルで品種登録され、新品種として公表された。新品種は、マダガスカルの主食であるコメの生産性向上に貢献する成果として、農家や普及を担当する行政機関の関心が高く、現地メディアに取り上げられた。
新品種のFyVary32 (左側と手前) とFyVary85(右側と奥側)
新品種は、「FyVary32」と「FyVary85」の2点。FyVary(フィヴァリ)は、マダガスカル語で「良いお米」を意味する。「FyVary32」は、熱帯地域の主要な多収品種であるIR64にリン酸吸収を増大させるPup1遺伝子座(染色体領域)を導入した2系統を親とする交雑後代から選抜、育成。「FyVary85」は、IR64とリン欠乏環境でも優れたリン吸収能をもつ在来インド型イネ品種DJ123を親とした交雑後代から選抜、育成された。両品種とも、マダガスカルをはじめアフリカの多くの水田稲作で問題となる土壌や肥料からの養分が乏しい環境でも優れた生産性を示す。
マダガスカルの農家ほ場で3作期18地点にわたる生産力試験を繰り返した結果、同国の主力品種であるX265(平均収量3.36t/ha)に比べて、FyVary32は12%高い収量性(平均収量3.67t/ha)と4日短い到穂日数(播種日から出穂日までの生育日数)、FyVary85は20%高い収量性(平均収量3.97t/ha)と5日長い到穂日数であることが実証された。
さらに、農家への食味試験によって優れた嗜好性であることも確認。また、マダガスカル農業畜産省種子管理委員会が、マダガスカルの水稲農家へ普及できる可能性が十分に高いと判断したことで今回の品種登録となった。
今後、国際農研は、FOFIFA、農業畜産省とJICA技術協力プロジェクト「コメセクター生産性向上及び産業化促進支援プロジェクト」と共同で、新品種の認証種子生産と農家への普及を進める。
マダガスカルは、一人当たりのコメ消費量が日本の2倍以上あり、国民の半数以上が稲作に従事する稲作大国だが、国民の主食・主業であるイネの生産性が停滞している。新品種が普及することで、マダガスカルの安定的なイネ生産と同国の食料安全保障及び貧困削減に貢献することが期待される。
新品種発表会では、マダガスカルの高等科学技術省事務次官が新品種の種子を生産農家に受け渡した
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