ピーマン及びトウガラシ類炭疽病 県内で新発生 愛媛県2021年12月6日
愛媛県病害虫防除所は、ピーマン及びトウガラシ類炭疽病の発生を県内で初めて確認。これを受け、12月1日に病害虫発生予察特殊報第2号を発令した。
ピーマン被害果実(左)、甘長とうがらし被害果実(写真提供:愛媛県病害虫防除所)
6月に、喜多郡内子町のピーマン圃場で、果実に炭疽病とみられる症状が発生。これまで県内で発生していた同病による被害に比べ激しい症状を示していた。また、今治市の甘長とうがらしでも、果実に同様な炭疽病とみられる被害が発生した。
病斑上には鮭肉色の分生子塊が形成され、顕微鏡による観察では、県内のピーマンで確認されていたColletotrichum属の炭疽病菌とは異なる形態の分生子を確認。このため、神戸植物防疫所に罹病果実と分離菌株を送付し同定を依頼した結果、ピーマン及びとうがらし類の果実に発生した症状は、ColletotrichumscovilleiDamm,P.F.Cannon&Crousによる炭疽病と診断された。県内では、同病原菌によるピーマン及びとうがらし類炭疽病の発生は初めての確認となる。
国内の発生状況は、2005年に島根県で初確認され、その後、兵庫県、福島県、千葉県、山口県、熊本県、岡山県で発生が確認されている。
病徴として果実では、はじめに水浸状のややくぼんだ小斑点を生じ、その後、斑点は拡大し同心円状の輪紋となり、表面には鮭肉色の分生子塊を形成。葉と果梗には、斑点病に類似する病斑を生じることがある。降雨などとともに急激に発生が拡大し、著しく減収する恐れがある。
同病原菌は、罹病被害残渣とともに土壌中で越冬し、翌年の伝染源となり、種子伝染することも報告されている。降雨や灌水時の土壌の跳ね返りにより分生子が飛散し感染し、傷口から感染しやすい。同病原菌の最適生育適温は25~28℃付近。梅雨時期から発生が始まり、盛夏期以降から徐々に発病が増加し、秋雨の時期にまん延する。ピーマン、とうがらし類をはじめ、トマト、イチゴ、サヤインゲンに病原性を有し、多犯性の病原菌とされている。
(表)ピーマン、トウガラシ類炭疽病に登録のある主な農薬
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇発病葉や発病果は発見次第除去し、圃場内や周辺に放置せず伝染源とならないよう適切に処分。また、落葉もできるだけ処分する。
〇雨よけ栽培やマルチ被覆等により降雨による跳ね上がりを防ぐ
〇整枝・せん定を行い、果実に傷がつかないよう支柱や枝つりなどで固定する。
〇発生後の薬剤散布では十分な防除効果は得られにくいので、降雨の状況に注意を払い発生がみ
られたら早めに薬剤防除を実施する。同病に対する登録薬剤は以下表のとおり。
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