下水再生水で栽培の酒造好適米を特別限定醸造酒に 大規模実証試験を開始 秋田高専2022年1月6日
秋田工業高等専門学校(秋田県秋田市)は、下水道資源を活用した水稲栽培手法の大規模実証試験を開始。化学肥料を使わずに下水再生水を肥料として栽培した酒造好適米で特別限定醸造酒を造ることで、地域資源循環型農業の構築に向けた取り組みを進めている。
生育調査の様子
同校は、地域の未活用資源である再生水の有効活用と秋田の主要産業である水稲栽培・醸造産業に着目。SDGsに貢献する地域資源循環型の水稲栽培手法の技術開発とその社会実装を目指している。
家庭などから発生する下水は、一般的に下水処理場に集められた後、微生物によって浄化され、消毒された再生水となる。再生水は安全性の基準を満たした上で、河川などに放流される一方、窒素、リン、カリウムなど農作物の栄養となる成分が含まれているが、未利用のまま放流されている。
これらの成分は栄養塩と言われ、水中の濃度が上がりすぎるとアオコや赤潮など植物プランクトンの異常増殖を引き起こすため、必要に応じて下水処理場ではエネルギーをかけて栄養塩を除去している。
同研究では、浄化処理が施された安全な水である再生水に含まれる栄養塩を農作物の代替肥料として活用。SDGsの達成に寄与する地域資源循環型の水稲栽培手法の技術開発を進めている。下水処理の視点から見れば、栄養塩の除去に必要なエネルギーの削減をしながら水環境を保全できる。一方、農業の視点から見れば、外部からの肥料供給が不要となるため、自立型・地域資源循環型の農業構築が可能になる。下水道と農業の連携により、SDGsの水資源の持続可能な管理と生産・消費のパターンを確保できる。
取組のイメージ
この取組は平成29年度から基礎的検討を始め、令和2年度からは実水田における実証試験へと移行。令和3年度は30アール規模の水田に再生水を投入し、化学肥料を一切使わない酒造好適米を栽培した。
試験では、慣行農法の水田との比較で水稲の生育特性、玄米の品質、土壌・水質・温室効果ガス排出量への影響、生態系への影響などを含めた総合的な評価を目指している。収穫した米は出羽鶴酒造とのコラボレーションにより、同校発の特別限定醸造酒として今年度末の披露を予定している。
同研究は、山形大学、秋田県立大学、九州大学との共同研究で、秋田市、秋田県、株式会社日水コンおよび出羽鶴酒造の支援を受けて実施している産学官連携の取組。
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