イネ害虫の発生調査 専門家の目でAIがウンカ類を自動カウント 農研機構2022年1月14日
農研機構は、イネ害虫の発生調査において、調査板の画像からイネウンカ類を自動認識するAIを開発した。ウンカ類を90%以上の精度で認識・自動カウントすることで、目視では調査板1枚当たり1時間以上かかることもある調査時間を、3~4分に短縮。同成果は、害虫の的確な防除や被害発生の予測に役立つ。
水田で収集した調査板をAIで認識、計数させた例
日本ではコメの安定生産のため、イネウンカ類(トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ)を植物防疫法で「指定有害動物」として定め、その飛来後の発生状況を把握。多発生による被害が予測される場合は生産者に向けて注意報・警報を発表している。そのため、国の発生予察事業では、水田のイネを対象として全国約3000地点について、都道府県の病害虫防除所が月2回以上、定期的に調査している。
作物害虫の発生を調査するには、その害虫を見分けられる熟練した専門家が必要。イネウンカ類は成虫でも5ミリ程度のサイズで、水田での発生量調査は、害虫の専門家が調査板の虫を1匹ずつ目視で数えている。
農研機構ではこの能力をAIに学習させ、イネウンカ類だけを調査板上のゴミや他の虫から選り分けて、自動で認識することに成功。このAIはイネウンカ類3種類を雌雄や幼虫・成虫などに全18分類して、90%以上の精度で見分けることができ、特に急速に増殖して激しい被害を引き起こすトビイロウンカは95%以上の精度で見分けることができる。
これまで調査板上のイネウンカ類を専門家が数え上げるには、1枚1時間以上かかることもあったが、パソコンでこのAIを使って同様に数え上げると、調査板を画像化する作業を含めても3~4分以内に終わる。これによりイネウンカ類の調査が大幅に軽労化・迅速化し、均一な精度で認識できるため、害虫の的確な防除や被害発生の予測に役立つ。今後、実証試験を行い全国に普及を図る。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(119) -改正食料・農業・農村基本法(5)-2024年11月23日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践 (36) 【防除学習帖】第275回2024年11月23日
-
農薬の正しい使い方(9)【今さら聞けない営農情報】第275回2024年11月23日
-
コメ作りを担うイタリア女性【イタリア通信】2024年11月23日
-
新しい内閣に期待する【原田 康・目明き千人】2024年11月23日
-
基本法施行後初の予算増確保へ JAグループ基本農政確立全国大会に4000人 生産者から切実な訴え2024年11月22日
-
「適正な価格形成」国関与で実効的に JA群馬中央会・林会長の意見表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
JAグループ重点要望実現に全力 森山自民党幹事長が表明 基本農政確立全国大会2024年11月22日
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日