リンゴ果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域を特定 農研機構2022年1月21日
農研機構と青森県産業技術センターは、大規模な遺伝解析により、リンゴ果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域の3か所特定し、これらの領域を選抜するためのDNAマーカーを開発した。この成果により品種改良の大幅な効率化が進み、果実をカットしても褐変しないリンゴ品種の育成が加速することが期待される。
「ふじ」をはじめとするほとんどのリンゴ品種は、果実をカットすると短時間のうちに茶褐色に変色(褐変)し、見た目や風味が損なわれてしまう。そのため、リンゴをカットフルーツとして流通させる際は、褐変の原因となる、果肉中のポリフェノールの酸化を抑制するための処理や包装を行っており、こうした手間やコストをなくすため、果実をカットしても褐変しにくい(難果肉褐変性の)リンゴ品種の開発が求められている。
褐変しないリンゴ品種はこれまでに「あおり27」と「Eden」の2品種が登録されているが、難果肉褐変性に関わる遺伝情報は不明だった。そこで、農研機構と青森県産業技術センターは、大規模な遺伝解析により、リンゴ果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域を特定。「あおり27」や「シナノゴールド」など28品種を交配親に用いて育成した数百個体のリンゴ樹から得た果実に対して、カットよりも厳しい酸化条件である「すりおろし」を行い、褐変しやすさを評価した。同時に、リンゴの全染色体領域にわたる1万箇所について遺伝解析を行い、果肉の褐変しやすさに関わる染色体領域を3箇所特定した。また、これら3箇所の領域を選抜するためのDNAマーカーを開発した。
既存品種と検証用の育種集団で比較したところ、3つの染色体領域の遺伝子型から予測される果肉の褐変しやすさは、実際の褐変しやすさと一致。開発したDNAマーカーを利用すれば、幼苗の段階で褐変しにくい個体の選抜が可能となるため、品種改良の大幅な効率化が進む。同成果により、褐変しにくいリンゴの品種育成が加速し、新たな需要創出に繋がると期待される。
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