振動による害虫防除と栽培へのダブル効果 化学農薬に依存しない新技術を実用化へ2022年2月1日
電気通信大学、森林研究・整備機構森林総合研究所、東北特殊鋼、宮城県農業・園芸総合研究所、琉球大学、神奈川県農業技術センター、兵庫県立農林水産技術総合センターの研究グループは、害虫のコナジラミ類を振動により防除する技術の特許を取得。振動発生装置を設置したトマト栽培施設で、振動が害虫の密度を低減させることを明らかにした
磁歪材料による振動発生装置(東北特殊鋼製)をパイプに設置したトマト栽培施設(JA全農内の展示ほ場)
同研究グループは、害虫のコナジラミ類に対して振動により防除する技術の特許を取得した。近年、化学農薬だけに頼らない新たな害虫防除技術を用いた環境保全型農業が望まれているトマト栽培施設で、磁場の変化により伸縮する材料である磁歪材料による振動発生装置からの振動が、害虫の密度を大幅に低減する防除効果を持つことを明らかにした。
また、この振動にはトマトの受粉を促進させる効果もあったため、生産性の向上と害虫防除のダブル効果を持つ可能性がある。昆虫は振動に対して敏感に反応する習性があるため、振動による防除技術は他の様々な農林業害虫への応用が期待される。
磁歪振動装置を設置したトマト株の模式図。
振動による防除と栽培技術は、化学農薬への依存からの脱却につながり、環境保全型農業の実現に貢献すると期待される。磁歪振動装置の改良やトマトに振動を伝える部材等の適合性試験を経て、2021年にはJA全農 営農・技術センターのミニトマト栽培施設内の展示ほ場で関係者へ公開。現在、振動の周波数等の条件の最適化を進めている。また、宮城県のトマト生産現場(現地生産施設)では、振動を与えることで実際に害虫防除の効果があるかを調べている。
同研究成果は、国内特許として2021年12月10日に登録された。2023年度を目途に、磁歪振動装置は東北特殊鋼から製品化の予定。
重要な記事
最新の記事
-
シンとんぼ(164)-食料・農業・農村基本計画(6)-2025年10月18日
-
みどり戦略対策に向けたIPM防除の実践(81)【防除学習帖】第320回2025年10月18日
-
農薬の正しい使い方(54)【今さら聞けない営農情報】第320回2025年10月18日
-
【浅野純次・読書の楽しみ】第114回2025年10月18日
-
【注意報】カンキツ類に果樹カメムシ類 県内全域で多発のおそれ 高知県2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(1)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(2)2025年10月17日
-
【国際協同組合年・特別座談会】いまなぜ二宮尊徳なのか 大日本報徳社鷲山社長×JAはだの宮永組合長×JAはが野猪野氏(3)2025年10月17日
-
25年度上期販売乳量 生産1.3%増も、受託戸数9500割れ2025年10月17日
-
(457)「人間は『入力する』葦か?」という教育現場からの問い【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2025年10月17日
-
みのりカフェ 元気市広島店「季節野菜のグリーンスムージー」特別価格で提供 JA全農2025年10月17日
-
JA全農主催「WCBF少年野球教室」群馬県太田市で25日に開催2025年10月17日
-
【地域を診る】統計調査はどこまで地域の姿を明らかにできるのか 国勢調査と農林業センサス 京都橘大学学長 岡田知弘氏2025年10月17日
-
岐阜の飛騨牛や柿・栗など「飛騨・美濃うまいもん広場」で販売 JAタウン2025年10月17日
-
JA佐渡と連携したツアー「おけさ柿 収穫体験プラン」発売 佐渡汽船2025年10月17日
-
「乃木坂46と国消国産を学ぼう!」 クイズキャンペーン開始 JAグループ2025年10月17日
-
大阪・関西万博からGREEN×EXPO 2027へバトンタッチ 「次の万博は、横浜で」 2027年国際園芸博覧会協会2025年10月17日
-
農薬出荷数量は0.5%増、農薬出荷金額は3.5%増 2025年農薬年度8月末出荷実績 クロップライフジャパン2025年10月17日
-
鳥取県で一緒に農業をしよう!「第3回とっとり農業人フェア」開催2025年10月17日
-
ふるさと納税でこどもたちに食・体験を届ける「こどもふるさと便」 IMPACT STARTUP SUMMIT 2025で紹介 ネッスー2025年10月17日