ピーマン施設ほ場で病原ウイルス「TZSV」が発生 国内で初めて確認 神奈川県2022年2月21日
神奈川県農業技術センターは、県内のピーマン施設栽培ほ場で、葉、茎でえそ症状が見られる株から、tomato zonate spot orthotospovirus(TZSV)の発生を確認。これを受け、2月17に病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。
葉のえそ症状(左)、 茎で見られたえそ症状(写真提供:神奈川県農業技術センター)
2021年5月上旬に神奈川県内のピーマン施設栽培ほ場で、葉、茎にえそ症状が発生する株が見られた。同センター生産環境部による検定植物への接種試験とRT-PCR法によって増幅した DNA断片の塩基配列解析から、tomato zonate spot orthotospovirus (TZSV)に感染していることが確認された。同ウイルスは、これまでに国内での発生は確認されていない。
病徴は、葉に退緑斑、えそ症状が発生し、場合によっては落葉し、生長点付近が萎れる。茎にえそ症状が発生することがある。病原ウイルスは、Orthotospovirus属に属し、現在中国でのみ発生が確認されている。同ウイルスは、アザミウマ類によって媒介されると考えられており、中国ではミカンキイロアザミウマが主な媒介虫とされているが、国内での媒介虫は不明。中国では、トマト、トウガラシ、ばれいしょ、イチハツ(Iris tectorum)などでの自然感染が確認されている。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇国内での媒介虫は明らかとなっていないが、Orthotospovirus属のウイルスであることから、アザミウマ類の防除対策を徹底する。
〇施設栽培では、アザミウマ類の施設内への侵入を防ぐため、施設開口部に防虫ネットを展張する。
〇育苗は、施設開口部に防虫ネットを展張した育苗専用の施設を利用するか、育苗場所に防虫ネットをトンネル被覆し、アザミウマ類の侵入を抑制する。また、育苗期から定植時のかん注剤や粒剤の処理を徹底し、栽培初期からのウイルスの感染を防ぐ。
〇発病株は二次伝染源とならないよう、発見次第抜き取り、埋没等により適切に処理する。
〇アザミウマ類は雑草にも寄生するため、施設内及び施設周辺の雑草を除去する。
〇アザミウマ類の薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連用を避け、必ずローテーション防除を行う。
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