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カミキリムシに不妊化現象を引き起こす細菌を発見 害虫防除資材として期待2022年2月25日

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森林研究・整備機構森林総合研究所と産業技術総合研究所の研究グループは、森林性昆虫の一種であるビロウドカミキリに、ボルバキアと呼ばれる細胞内寄生細菌が感染していることを発見。このボルバキアが、ビロウドカミキリを不妊化させることも明らかにし、ボルバキアは、害虫として知られる他のカミキリムシに対する防除資材として利用できる可能性がある。

日本の森林に広く生息している「ビロウドカミキリ」日本の森林に広く生息している「ビロウドカミキリ」

同研究では、人工飼料を用いた室内飼育法を実現させたことで、カミキリムシとそれに宿る細菌との関係を調べることに成功。その結果、森林性の昆虫として知られるビロウドカミキリにボルバキアが感染しており、そのボルバキアは宿主であるビロウドカミキリに対して生殖異常を引き起こすことがわかった。

この発見からは、(1)地域によってボルバキアに感染している個体群と感染していない個体群があること、(2)感染個体群からは2種類のボルバキアが同時に検出されること、(3)このボルバキアはビロウドカミキリに不妊化を引き起こすことなどが挙げられる。

ここで言う不妊化とは、ボルバキアに感染している雄と感染していない雌との間で交配した場合に、卵が死んでしまう現象。逆の組み合わせ(非感染雄×感染雌)では、卵は普通に孵化するため、世代を繰り返すごとに、感染している個体の割合が高くなっていくと考えられる。感染している2種類のボルバキアがそれぞれこの不妊化現象にどのように関与しているのかは今のところ不明だが、同研究は、カミキリムシの生殖機能が感染している細菌によって操作されていることを示した初めての報告になる。

他の昆虫種では、不妊化現象を引き起こすボルバキアを害虫種に導入し、生物的防除資材として利用する試みが進められている。同研究によって発見されたボルバキアも、カミキリムシに対して不妊化を引き起こすことが証明された。

ビロウドカミキリは害虫ではないが、森林に被害をもたらすカミキリムシは数多く存在することから、例えば、マツ材線虫病の媒介昆虫であるマツノマダラカミキリなどにこのボルバキアを導入することができれば、害虫防除資材の開発に向けた新たな展開が期待できる。

同研究成果は1月14日、国際科学雑誌『PLOS ONE』でオンライン公開された。

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