トマトの全ゲノム配列情報にAI適用 遺伝子発現を予測する技術開発 岡山大学2022年3月15日
岡山大学 学術研究院環境生命科学学域(農)の赤木剛士研究教授らは、農研機構、筑波大学大学院生命環境系、九州大学大学院システム情報科学研究院の共同研究者と、AI技術のディープラーニングをトマトの全ゲノム情報に適用することで、果実が「熟れる」過程で重要となる遺伝子の発現変化を予測する技術を開発した。
遺伝子の発現調節とAIによる発現予測
果実の色や甘さ・香りなどの特徴はそれぞれの作物のゲノムに存在する特定の遺伝子の動きによって決まる。しかし、遺伝子の発現パターンはゲノム内の複雑な要素の組み合わせで決まるため、たとえ全ゲノム配列の情報が明らかになっていても予測することは困難だった。
同研究では、本来は写真などの画像・映像や言語に使われることが多いAI技術である深層学習(ディープラーニング)をトマトの全ゲノム情報に適用することで、果実が「熟れる」過程で重要となる遺伝子の発現変化を予測する技術を開発した。
AIとの協議によって「遺伝子の動き」を設計
さらに、「説明可能なAI (X-AI)」と呼ばれる技術を活用することで、AIが予測した果実の遺伝子発現にとって重要な鍵となるDNA配列を特定した。今後、さらなる「AIとの協働」により、ヒトでは判断が難しい膨大な全ゲノム情報の中にある仕組みを紐解き、その鍵となるDNA配列を自由に改変することで、果実の様々な特徴に関しての緻密なデザインが可能になると期待される。
同研究成果は3月8日、米国の科学雑誌『The Plant Cell』オンラインアドバンス版に掲載された。
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