新興ウイルス病に強いトマトの作出方法を開発 農研機構×タキイ種苗2022年3月17日
農研機構とタキイ種苗は、ウイルスが増殖に利用しているトマトの遺伝子を働かなくすることにより、ToBRFVに強力な抵抗性を示すトマトが作出できることを、ゲノム編集技術で実証した。同成果により、ToBRFV抵抗性品種の開発と普及が進めば、ToBRFVの制圧が可能になると期待される。
TOM1ゲノム編集トマト(左)とゲノム編集していないトマト(右)の果実で、
大きさや色などに特段の違いは認められない
"果実が褐変し、しわを寄せる"という意味の名をもつ「tomato brown rugose fruit virus」(ToBRFV)は、2014年に中東で初めて発見されたウイルスで、トマトやピーマンなどに感染する。ToBRFVに感染したトマトは生育不良により収量が30~70%低下。収穫できた果実も品質が低下する上、汚染した土の入れ替えなど衛生管理作業や検疫にかかるコストも多大になる。
ToBRFVは国内では未発生だが、世界中の多くの地域に急拡大。2月現在で30か国で報告があり、国際的なトマトの安定供給に対する大きな懸念材料となっている。既存のウイルス抵抗性トマト品種はToBRFVには有効でないため、世界中で新たな防除方法が求められていた。
ウイルス非接種あるいはToBRFV接種から3週間経過したTOM1ゲノム編集トマト(左)
とゲノム編集していないトマト(右)
同研究グループは、ウイルスが増殖に利用しているトマトの遺伝子を働かなくすることにより、強力なToBRFV抵抗性を示すトマトが作出できることをゲノム編集技術で実証。当該トマトは、ToBRFVだけでなく、近縁のトマトモザイクウイルス等に対しても抵抗性を示したことから、複数の重要ウイルス病に同時に有効であることが分かった。
一般に、植物が元々もっている遺伝子を働かなくした場合、生育等に意図しない悪影響が出る場合があるが、同研究で作出したToBRFV抵抗性トマトは、実験室の環境条件では正常に生育、結実した。以上の結果から、本方法はトマトの品質や収量を大きく低下させることなくToBRFVに抵抗性を付与する、極めて有望な技術と考えられる。
タキイ種苗は本知見を活かしながら、従来の育種法によるToBRFV抵抗性トマト品種の開発を進めている。
重要な記事
最新の記事
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日
-
厚木・世田谷・北海道オホーツクの3キャンパスで収穫祭を開催 東京農大2024年11月22日
-
大気中の窒素を植物に有効利用 バイオスティミュラント「エヌキャッチ」新発売 ファイトクローム2024年11月22日
-
融雪剤・沿岸地域の潮風に高い洗浄効果「MUFB温水洗浄機」網走バスに導入 丸山製作所2024年11月22日
-
農薬散布を効率化 最新ドローンなど無料実演セミナー 九州3会場で開催 セキド2024年11月22日
-
能登半島地震緊急支援募金で中間報告 生産者や支援者が現状を紹介 パルシステム連合会2024年11月22日
-
徳島県産食材をまるごと楽しむ「徳島食の博覧会2024」30日から開催2024年11月22日
-
総供給高と宅配が前年割れ 10月度供給高速報 日本生協連2024年11月22日
-
森林の遮断蒸発 激しい雨の時より多くの雨水を蒸発 森林総合研究所2024年11月22日