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トマトキバガのトラップでの誘殺 県内で確認 鹿児島県2022年3月18日

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鹿児島県病害虫防除所は、トマトキバガのトラップでの誘殺を県内で確認。これを受け、3月16日に病害虫発生予察特殊報第3号を発令した。

トマトキバガの成虫(写真提供:宮崎県総合農業試験場)トマトキバガの成虫(写真提供:宮崎県総合農業試験場)

同防除所は3月、志布志市のピーマンほ場周辺に設置したトマトキバガの侵入警戒トラップにおいて、誘殺されたガの成虫を門司植物防疫所鹿児島支所が同定。その結果、トマトキバガであることが確認された。現在、鹿児島県内の農作物における本種幼虫の発生および被害は認められていない。

同種は南アメリカ原産だが、2006年にスペインへの侵入が確認され、ヨーロッパ、アフリカ、中央アメリカ、西アジア、アラビア半島、インド、ネパール、東南アジアに分布を拡大。2021年5月までに、台湾、中国、中央アジア諸国などでの発生が新たに確認されている。また、国内では、2021年10月に熊本県で初めて確認され、同年12月には宮崎県で確認されている。

トマトキバガの幼虫。右下矢印は前胸背面後縁の黒色横帯(写真提供:宮崎県総合農業試験場)トマトキバガの幼虫。右下矢印は前胸背面後縁の黒色横帯(写真提供:宮崎県総合農業試験場)

成虫は、翅を閉じた静止時で体長5~7ミリ(前翅長5ミリ弱、開張約10ミリ)。前翅は、灰褐色で黒色斑が散在し、後翅は一様に淡黒褐色。幼虫は、終齢で約8ミリに達し、体色は淡緑色~淡赤白色で、前胸の背面後縁に狭い黒色横帯がある。

1年に複数回世代が発生し、繁殖力が高い。発生世代数は環境条件によって異なり、南米では年に10~12世代発生することが報告されている。卵~成虫になるまでの期間は24~38日程で、気温が低い時期はさらに延びる。また、発育下限温度は8℃とされている。

成虫は夜行性で、日中は葉の間に隠れていることが多い。雌は一生のうちに平均で約260個の卵を寄主植物の葉の裏面などに産み付ける。幼虫は1齢~4齢までの生育ステージがあり、土中や葉の表面で蛹化する。

幼虫の食害による被害葉(写真提供:宮崎県総合農業試験場)幼虫の食害による被害葉(写真提供:宮崎県総合農業試験場)

トマトの被害は、葉では内部に幼虫が潜り込んで食害し、葉肉内に孔道が形成される。食害部分は表面のみ残して薄皮状になり、白~褐変した外観となる。果実では、幼虫が穿孔侵入して内部組織を食害するため、果実表面に数ミリ程度の穿孔痕が生じるとともに、食害部分の腐敗が生じ、果実品質が著しく低下する。

主要な寄主植物は、トマト、ナス、ピーマン、タバコ、バレイショなどのナス科植物だが、マメ科のインゲンマメも寄主植物として確認されている。海外では,ピレスロイド系やジアミド系などの殺虫剤に対する抵抗性を獲得した個体群の発生が報告されている。

幼虫の食害による被害果(写真提供:宮崎県総合農業試験場)幼虫の食害による被害果(写真提供:宮崎県総合農業試験場)

同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。

〇現在、トマトキバガに対する登録農薬はないが、トマト、ミニトマトおよびピーマンでは植物防疫法第29条1項に基づく措置として、別紙に記載された農薬による防除を行う。なお、薬剤防除にあたっては、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統が異なる薬剤のローテーション散布を行う。

〇ほ場内をよく見回り、見つけ次第捕殺する。

〇除去した被害株や被害果などを野外に放置すると、発生源になることから、速やかに適切に処分を行う。

〇トマトキバガの発生が疑われる場合は、病害虫防除所(電話)099-245-1157に連絡する。

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