柿の両性花を生み出す新規遺伝子「DkRAD」を発見 岡山大学2022年3月24日
岡山大学 学術研究院環境生命科学学域(農)の赤木剛士研究教授は、同大学院環境生命科学研究科博士後期課程3年の増田佳苗大学院生と、性別(オス・メス)を持つ柿の花が、性別のない両性花へ先祖返りする仕組みを解明。その中心的な働きを担う新しい遺伝子「DkRAD」を発見した。農業にとって重要な「作物の性別」を自由に制御する技術への発展が期待される。同研究は、岡山大学資源植物科学研究所、農研機構、京都大学大学院農学研究科、カリフォルニア大学デービス校との共同研究として行われた。
栽培柿における両性花への先祖返り
「性別」は生物の多様性を維持するのに重要な仕組みで、植物の「性」は個体としてのオス・メスだけではなく、雄花、雌花、そして両者が共存した「両性花」などの状態を揺らがせて、多様な花の性別を表現しながら進化してきた。しかし、植物の性に関する研究は100年以上も続いているにも関わらず、その揺らぎを決めている仕組みは謎に包まれていた。
赤木研究教授は、これまで柿やキウイフルーツを材料として植物の性別の研究に取り組んでおり、世界に先駆けて植物個体のオス・メスを決定する遺伝子群やその進化の過程を解明。このほど、増田大学院生と、性別を持つ柿の花が、祖先である両性花へ先祖返りする仕組みの解明と、その中心的な働きを担う新しい遺伝子「DkRAD」を発見した。
この遺伝子は、赤木研究教授らの研究から既に見つかっていた性別決定遺伝子「OGI」「MeGI」とは全く異なる遺伝子で、野生の柿では機能せず、栽培されている柿でのみで働く遺伝子であることが明らかになった。
また、オス化したモデル植物に同研究で発見したDkRAD遺伝子を働かせることで、両性花への先祖返りを人工的に再現することに成功。これは、植物進化の中で繰り返されている「揺らぐ性別」の仕組みを解明すると同時に、作物の性別を自由に制御し、安定的生産や新しい育種を可能にする技術に発展していくと期待される。
同研究成果は3月18日、英国の科学雑誌『Nature Plants』に掲載された。
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