イネの成長と免疫のエネルギーバランスを調整する仕組み解明 近畿大学2022年5月17日
近畿大学大学院農学研究科・アグリ技術革新研究所の川﨑努教授、博士前期課程(当時)一丸航太氏、講師の山口公志氏らの研究グループは、大阪大学蛋白質研究所、横浜国立大学、岩手生物工学研究センター、農研機構との共同研究で、イネが病原菌非存在下では不必要な免疫の活性化を抑制し、成長にエネルギーを消費できるよう調整していることを明らかにした。この研究成果により、病気に強いイネの開発に繋がることが期待される。
病原菌の非存在下(左)、病原菌感染時(右)の免疫系の応答
近畿大学大学院農学研究科の研究グループは、これまでイネの耐病性に関する研究に取り組み、イネの免疫を制御する因子として、「PUB44」という酵素を発見した。また、このPUB44が免疫応答をはじめとする様々な生命現象をコントロールするために、何らかのタンパク質と相互作用していることが示唆されていた。
同研究グループは、PUB44と相互作用することで免疫応答をコントロールする因子を探索し、「PBI1」というタンパク質を発見。このPBI1を解析した結果、イネの免疫系で重要な役割を果たす「WRKY45」という転写因子の活性を制御していることを見出した。
さらに、病原菌の非存在下では、PBI1がWRKY45の機能を阻害して不必要な免疫の活性化を抑制する一方、病原菌に感染するとPUB44が活性化し、PBI1が分解されて免疫が活性化することを明らかにした。
これは、不必要な免疫誘導によるエネルギー使用を抑え、イネの成長にエネルギーを消費できるよう調整していると考えられる。同研究成果は、PBI1がWRKY45の活性化のオン・オフを介してイネの成長と免疫のエネルギーバランスを調整していることを示しており、今後、病気に強く、収量が安定したイネの開発に繋がることが期待される。
この研究に関する論文は、5月16日(日本時間)、科学誌『Nature Communications』に掲載された。
重要な記事
最新の記事
-
備蓄米 「味に差なく、おいしく食べてほしい」 江藤農相2025年4月24日
-
関税発動で牛肉の注文キャンセルも 米国関税の影響を農水省が分析2025年4月24日
-
トランプ関税で米国への切り花の輸出はどうなる?【花づくりの現場から 宇田明】第58回2025年4月24日
-
【JA人事】JA北オホーツク(北海道)吉田組合長を再任2025年4月24日
-
三島とうもろこしや旬の地場野菜が勢ぞろい「坂ものてっぺんマルシェ」開催 JAふじ伊豆2025年4月24日
-
農林中金 ロンコ・インベストメント・マネジメントに資本参画 不動産分野の連携強化2025年4月24日
-
積雪地帯における「麦類」生育時期 推定を可能に 農研機構2025年4月24日
-
日本曹達 微生物農薬「マスタピース水和剤」新たな効果とメカニズムを発見 農研機構2025年4月24日
-
棚田の魅力が1枚に「棚田カード」第5弾を発行 農水省2025年4月24日
-
みずほ銀行と食農領域の持続可能な発展に向け戦略的提携 クボタ2025年4月24日
-
【人事異動】兼松(6月1日付)2025年4月24日
-
日本生協連「フェアトレード・ワークプレイス」に登録2025年4月24日
-
旭松食品「高野豆腐を国外へ広める活動」近畿農政局 食の「わ」プログラムで表彰2025年4月24日
-
群馬県渋川市の上州・村の駅「お野菜大放出祭」26日から 9種の詰め放題系イベント開催2025年4月24日
-
JA蒲郡市と市内の飲食店がタッグ 蒲郡みかんプロジェクト「みかん食堂」始動2025年4月24日
-
適用拡大情報 殺菌剤「バスアミド微粒剤」 日本曹達2025年4月24日
-
倍率8倍の人気企画「畑でレストラン2025」申込み開始 コープさっぽろ2025年4月24日
-
農業・食品産業技術開発の羅針盤「農研機構NARO開発戦略センターフォーラム」開催2025年4月24日
-
雪印メグミルク、北海道銀行と連携「家畜の排せつ物由来」J-クレジット創出へ酪農プロジェクト開始 Green Carbon2025年4月24日
-
山椒の「産地形成プロジェクト」本格始動 ハウス食品など4者2025年4月24日