外来害虫クビアカツヤカミキリ 侵入地域間で遺伝的に異なると判明 森林総合研究所2022年5月20日
森林研究・整備機構森林総合研究所の研究グループは、日本各地で採集されたクビアカツヤカミキリのミトコンドリアDNAについて遺伝子を解析し、主な分布地域間でこの種が遺伝的に異なっていることを明らかにした。
クビアカツヤカミキリの成虫(左)と幼虫。
クビアカツヤカミキリの幼虫は、サクラやモモなどのバラ科樹木の内部を食い荒らす
クビアカツヤカミキリは外来の樹木害虫で、幼虫がサクラやモモなどの幹を食害し、多数が穿孔すると木を枯死させることがある。2012年にこの種による樹木被害が国内で初めて確認されて以降、10年間で本州、四国の様々な地域で分布が確認されるようになった。
クビアカツヤカミキリの侵入が確認されている埼玉・群馬・栃木・茨城県境部、埼玉南部、東京西部、愛知西部、大阪南部、徳島北部の6 つの地域からクビアカツヤカミキリ120個体を採集し、ミトコンドリアDNAの一部分の塩基配列を解析した。その結果、国内のクビアカツヤカミキリは侵入地域間で遺伝的に異なることがわかった。各地域でみつかった遺伝子型は、埼玉・群馬・栃木・茨城県境部と東京西部で同じ型があった以外は、すべての地域間で異なっていた。この結果から、クビアカツヤカミキリは国内の色々な地域に別々に持ち込まれたことで、急速に分布が広域化したと考えられる。
日本では近年、クビアカツヤカミキリに加えてツヤハダゴマダラカミキリAnoplophora glabripennis やサビイロクワカミキリApriona swainsoniなど他の外来のカミキリムシ類による樹木被害も相次いでみつかっている。クビアカツヤカミキリを含め外来の樹木害虫による被害拡大を防ぐためには、被害地における防除だけでなく、さらなる侵入を防ぐための水際対策の強化も重要となる。
同研究成果は、2月21日に『Insects』誌でオンライン公開された。
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