キク小斑点病 キクの葉での病徴は国内初の確認 耕種的防除を 佐賀県2022年5月24日
佐賀県農業技術防除センターは、キク小斑点病(Stemphylium lycopersici)の発生を県内のキク栽培ほ場のキクの葉で病徴を確認。これを受け、5月20日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
キク栽培ほ場で確認した褐色の輪紋症状(A、B)
および葉縁部が褐色に枯れる症状(写真提供:佐賀県農業技術防除センター)
2021年2月に、佐賀県内でキク(品種:精の一世)を栽培している施設ほ場で、葉に褐色の輪紋や葉縁部が褐色に枯れる症状が確認された。当該株を採取し、農林水産省門司植物防疫所に同定依頼した結果、Stemphylium lycopersiciによるキク小斑点病であることが判明した。
キク小斑点病の病徴は、キクの花弁に小さな円形斑を生じることが知られている。しかし、Stemphylium lycopersiciによるキクの葉での病徴は、これまで日本国内では報告されていない。
同病菌はトマト斑点病、トルコギキョウ褐斑病を引き起こし、これらの茎葉には病斑が形成されることが知られている。また、葉に褐色の輪紋や、葉縁部が褐色に枯れる症状がみられる。なお、同病菌をキクの葉に噴霧接種した試験では、接種5日後に、暗褐色で不整形の病斑が再現されている
佐賀県内の罹病株から分離した Stemphylium lycopersici の分生子(A、B)
および接種試験で再現されたキク小斑点病の病徴(C、D)(写真提供:佐賀県農業技術防除センター)
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇現在、キク小斑点病に対する登録農薬はないため、耕種的防除を行う。
〇罹病葉や罹病残渣は伝染源となる恐れがあるため、ほ場外へ持ち出して適切に処分する。
〇ほ場内の排水対策を徹底する。また、施設内が多湿にならないよう、適宜換気を図る。
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