【特殊報】ビワキジラミ 京都市内で発生 府内で初めて確認 京都府2022年6月13日
京都府病害虫防除所は、ビワキジラミの発生を京都市の一部で確認。これを受け、6月10日に病害虫発生予察特殊報第1号を発令した。
ビワキジラミ成虫(全長2.5~3.5ミリ)・幼虫(全長約2ミリ)(写真提供:京都府病害虫防除所)
5月11日、京都市内の民家に植栽されたビワの果実や葉にキジラミ類と思われる成虫、幼虫の寄生を確認。採取した成虫を農林水産省神戸植物防疫所に同定依頼したところ、キジラミ科のビワキジラミと同定された。同種は、国内では2012年に徳島県で初めて発生が確認され、その後、香川県、兵庫県、和歌山県、岡山県、愛媛県および大阪府で発生の報告があり、京都府内での確認は初めて。
同種はカメムシ目の昆虫で、寄生できる植物はビワのみ。成虫の全長は2.5~3.5ミリ程度で、2対の翅があり、小さなセミのように見える。体は黄褐色で、白色の線状やまだら状の多数の斑紋がある。前翅は透明で、その外縁に沿って黄褐色の不明瞭な小斑紋が4~5つ並んでいる。なお、11月~3月に発生する成虫では、体の地色や前翅の斑紋が濃くなる傾向があるとされている。
幼虫の全長は2ミリ程度で形状は扁平な楕円形、歩行は緩やか。体色は淡黄色であるが、齢を重ねるごとに褐色味が増す。同種はビワ樹上で1年間に5回程度世代を繰り返し、春先には花や幼果、新芽で増殖し、成虫が5~6月頃に多発生。盛夏時には成虫が樹冠内部に隠れて休眠状態となる。9月以降で、枝先に集まって交尾し花蕾に産卵し世代を重ねる。冬季もビワ樹上でみられる。
葉裏に寄生するビワキジラミ成虫(写真提供:京都府病害虫防除所)
幼虫・成虫ともにビワの樹液(師管液)を吸汁し、幼虫は白い水滴状の甘露や白い綿のようなワックス(ろう物質)を排出する。特に甘露には糸状菌(カビ)が発生し、果実が黒く汚損される「すす病」が発生する。被害は果実が肥大・成熟する5~6月頃に顕著。果実に袋かけを行う前の3月時点で既に果房や幼果の隙間に寄生している場合が多く、袋かけを行っても果実被害が発生する。
同防除所では次のとおり防除対策を呼びかけている。
〇樹を観察し、3月以降の果実のすす病および~6月の葉裏の成虫を目印に本虫の早期発見に努める。
〇成虫は黄色に誘引されるため、黄色粘着トラップによるモニタリングが有効。
〇薬剤防除は、収穫後成虫が夏期休眠する前の7月中旬まで、11月以降の摘蕾後、3月の果実袋かけ前に行う。
〇幼虫は花房の奥深くや狭い隙間に潜んでいるため、薬剤が十分にかかるよう11月は摘房・摘蕾後、3月は摘果後に、花房・果房に十分隙間ができた状態でビワ樹全体に丁寧に散布する。
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